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私 あの人のこと 好きなのかも やっぱり好きなんだよ 昔からー
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 翌春、私は3年生になって、お母さんから釘を刺されていた。

「マオ あんたは大学 国公立に行ってよね 勉強出来るんだからー お姉ちゃんもあんな調子でしょ ウチには二人 私立に行かせる余裕ありませんからね ダメだったら、卒業して働いてちょうだい! お父さんも あんなで どこで何をしてるんだかー お母さんはマオだけが頼りなのよー 良い子だからー」

「うっ うん わかってる・・・マオもお母さんのこと 好きだよー」

「・・・マオは可愛いねー 良い子で良かったワー」

 私は、お母さんが言っていることも、充分理解していた。お父さんも姉ちゃんも自分勝手なのだ。家庭というものを守っているのは私とお母さんと・・・カイ と 時々、ご飯をねだりに来るノラ猫のクロスケ だけなのだ。

 私は、その時はまだ、大学のことなんか考えていなかった。専門学校に行って、栄養士の資格を取って、給食センターあたりに勤めれれば良いと思っていたのだ。その後、私を愛してくれる真面目な人と結婚して、子供を育ててと。でも あの人のことも・・・大学はどうしたのだろうか 私となんて もう 夢なんだと諦めていた。どこかで結ばれているなんて 思いすぎなんだと・・・

 だけど、それは思いがけない形で、私の思いを変えていくことになるのだ。お母さんがお友達のところにお茶を飲みに行って帰ってきた時

「ねえ マオ 今度の日曜日 お母さんと一緒に お茶 飲みに行きましょ 今日ね お友達のところに行ってきたでしょ そこでね 近所の人も呼ぶからって その人ね お母さんが勤めてた時の先輩だったの 偶然 だから、今度 遊びにいらっしゃいよって」

「それでー なんで私なの?」

「うん お友達がね 奥浦さんとこのお嬢さんはふたりとも とってもきれいなんですよっ て 話になって お会いしたいわぁーって その先輩が・・・」

「お母さん マオは見世物じゃあないからね!」

「だってね 織藻はネジが1本外れてるでしょ だけど、マオは清楚で利発そうだし 先輩に自慢したいのよー」 自慢って・・・わたしゃー 見栄っぱりのバカ女ざんす

 そして、日曜日のお昼前に車で走って、私の洋服を買うのだと言う。よそのお家に初めて行くのに、普段着じゃぁ失礼でしょって言っていた。私の見栄っぱりはお母さんゆずりなんだろうかと、思っていた。薄いブルーでひざ丈のワンピースを選んでくれて、上半身だけが小花柄になってる五分袖のもの。一緒にお昼のスパゲティを食べて、家に帰って、お母さんはこぎれいな服に着替えて、私にも薄くピンクがかったリップクリームを塗ってくれて、二人で歩いて向かった。

 歩いて行くうちに、あの人の家のほうに向かっているのがわかったのだ。まさかと思いながら・・・TATEOBI の表札の前でお母
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