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裏方あってこそ
第二章

[8]前話
「皆と一緒にね」
「働かれて」
「声をかけられて」
「歌劇場のホームページでも紹介してくれますか」
「歌手やオーケストラや指揮者の人達だけでなく」
「私達まで」
「劇場は歌手やオーケストラだけじゃないよ」
 こうも言うのだった。
「指揮者だけでもね」
「私達もですか」
「身体動かして雑用する」
「そんな仕事もあってですか」
「そうだよ、君達がいてこそ」
 それでこそというのだ。
「劇場はやっていけるんだ、いい舞台もね」
「それもですか」
「私達がいてこそ」
「それで、ですか」
「やっていけるから」
 だからだというのだ。
「本当にね」
「私達と一緒に働いて」
「声をかけてくれて大事にしてくれて」
「お給料も弾んでくれて」
「他の待遇もよくしてくれてますか」
「ホームページでも一人一人紹介してくれるんですね」
「光の当たらないと言われるお仕事と言われても」 
 それでもというのだ。
「そのお仕事があってこそやっていけるんだ」
「そうなんですね」
「それで、ですね」
「私達と一緒にですね」
「働くよ、それが私の考えだから」 
 笑顔で言ってだった。
 小河は裏方と言われる者達と共に汗を流し彼等を大事にした、すると彼等はその彼に応えて仕事に励んでだった。
 歌劇場はこれまで以上によくなった、彼が音楽監督になってからただ歌手やオーケストラや指揮者がいいだけでなく。
「舞台全体がいいな」
「歌劇場の設備も」
「掃除も隅から隅まで行き届いているし」
「これまで以上にいい劇場になったな」
「本当に」 
 観客達からも好評だった、そして欧州屈指の歌劇場との評価は欧州一となった。だが小河はそのことに驕らず。
 これまで通り働いていった、その彼を誰もが褒め称えた。最高の音楽監督であると。


裏方あってこそ   完


                  2024・4・21
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