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山梨県の過去
第一章

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                山梨県の過去
 山梨県の八条住宅支社に来てだった、アメリカペンシルバニア州出身で小学校から大学まで日本の八条学園で学び今はその学園を運営している企業グループのその企業で勤務しているマーガレット=コシュシェシコはすぐにあることに気付いた。
「何か整備された溝が多いですね」
「川もですね」
「はい、随分と」
 赤い波がかったロングヘアと彫のある顔が印象的で華が高い、目は青で眉も赤い。一六二程の背で均整の取れたスタイルだ。
「それも古いものが」
「そのことなんですが」
 学園で三つ下にあたる地元出身の坂本倫子が話した、穏やかで優しそうな顔立ちで眉は太い。黒髪はショートヘアで背は一五三程で胸はない。二人共今は作業服である。
「理由があるんです」
「何かあったのですか」 
 コシュシェシコは考える顔で言った。
「一体」
「先輩は山梨ははじめてですね」
「はい」
 その通りだと答えた。
「私は」
「これまではずっと関西でしたね」
「学園は神戸で」
 八条学園のある場所である。
「これまでは京都にいて」
「そちらで働いておられましたね」
「そうでしたので」
「そうですね、実はです」
「実は?」
「寄生虫がいまして」
 坂本はこの国の話をした。
「それで、です」
「溝が整備されたのですか」
「見て下さい」
 ここでだ、坂本は。 
 コシュシェシコをある場所に案内した、そこは水田地帯日本人の心の原風景と言っていい場所の一つであった。
 その水田達を手で指示してだ、坂本は話した。
「実は山梨県は水田が乏しかったのです」
「山に囲まれた場所なので」
「はい、そのこともありましたが」
「その寄生虫ですか」
「入ると死ぬ」
 坂本の言葉は深刻なものになった。
「呪い田と呼ばれ」
「呪い田?」
「そうです、そうした田が多いと言われ」
「その呪いの招待が」
「そうです、日本住血吸虫という」
 その寄生虫の名前も話した。
「寄生虫がいまして」
「その寄生虫がいたので」
「素足で水田に入ると」
 そうすると、というのだ。
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