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謎の地下室
第一章

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                謎の地下室
 母の実家、岐阜市のそこに来た時にだ。
 伊藤万寿、中学一年で大きな目と黒いショートヘアでまだあどけなさが残る年齢の割に背の高い彼はその家の中お見て回る中でだった。
 物置の隅に下に行く扉を見付けて両親に話した。
「物置の床に扉あるけれど」
「扉?」
「そんなのあったの」
「うん、あったよ」
 サラリーマンの父の永寿、息子に遺伝を継がせた穏やかな顔で眼鏡をかけて黒髪を左に分けた中肉中背の彼と母の真知子穏やかなおかめ系の顔で黒髪をロングにさせたやや肉付きのいい小柄な彼女に話した。
「それがね」
「そんなのあったんだ」
「お母さんも知らなかったわ」
「お母さんここで暮らしてたのよね」
 小学六年の娘の美佐子が言って来た、母親そっくりの顔で黒髪はツインテールにしていてやはり小柄である。
「そうよね」
「そうだけれど」
 母は娘に答えた。
「お母さんもね」
「知らなかったの」
「物置はよく行ったけれど」 
 それでもというのだ。
「そんなのあったなんてね」
「防空壕じゃないの?」
 ここで祖母で実家でずっと暮らしている明美が言ってきた、おかめ系の顔で白髪で穏やかな感じの老女だ。
「それなら」
「防空壕?」
「ほら、戦争があったでしょ」
 こう娘に言うのだった。
「だったらね」
「防空壕あるわね」
「空襲を避ける為にね」
「それでうちにもあったの」
「私が生まれるちょっと前だけれどね」
「お母さん終戦直後に生まれたしね」
「戦争のことはよく知らないけれど」
 それでもというのだ。
「やっぱりここもね」
「空襲あったから」
「だからね」 
 それでというのだ。
「うちにも防空壕あったんでしょ」
「そうなのね」
「じゃああの扉空けたら防空壕に行けるんだ」
 万寿は祖母の話を聞いて言った。
「そうなんだね」
「多分ね」
 祖母は孫にすぐに答えた。
「行けるよ」
「じゃあ今から行ってみるよ」
 万寿はそれならと応えた。
「僕もね」
「それじゃあね」
 美佐子は兄の言葉に続いて言った。
「私も行っていい?」
「美佐子も?」
「うん、そうしていい?」
「いいよ」
 万寿は特に思うことなく妹の申し出に頷いた。
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