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渦巻く滄海 紅き空 【下】
八十二 英雄
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「此処より世界に痛みを」

全てを無に帰す。
それはまるで天地創造をする為に全てを破壊する神の如き。

「──“神羅天征”」

そして全てが光に包まれた。












視界がひらける。

眼を開けた時、真っ先に考えたのは、違う場所に来てしまったのだ、ということ。
しかしながら立ち込める白煙がやがて消えゆく頃には、見覚えのある光景が彼女の瞳に飛び込んできた。

火影岩。今までの歴代の火影の顔が彫られた岩が、じわじわと此処が木ノ葉の里だという現実を突きつける。

理解が追い付かない。
ようやく理解したその顔が徐々に険しくなってゆく。


変わり果てた木ノ葉の里を前に、目尻に紅を引いた波風ナルは双眸を鋭く細めた。















「回復役の地獄道を潰されたのは痛手だったな」


【神羅天征】で里を壊滅する寸前、巻き込まれまいと里外へ撤退していたペイン六道。
しかしながらその有様は散々たるものだった。

自らの武器で胴体を貫かれた修羅道。酸に溶かされ頭を失った地獄道。
畜生道も両足の損傷。全て木ノ葉の里に突如として現れた人柱力によるものだ。

二尾の人柱力であるユギトの策略で自ら放ったミサイルで修羅道は胴体を貫かれ、六尾の人柱力であるウタカタのシャボン玉で焼け爛れ、頭を失う地獄道。
そして四尾の人柱力である老紫の【熔遁忍術】により足を失った畜生道。

「事が済んだらまたカブトに頼んで新しい遺体を用意してもらわねば、な」

回復役の地獄道がウタカタによって潰された今、現時点で動けるのは、餓鬼道・人間道・畜生道、そして今し方”神羅天征”を発動させた天道のみ。
辛うじて手は動くので【口寄せの術】を使う畜生道も戦力に入れてはいるが、足が無いのでその場で使うしかすべはない。

「四人でどこまでやれるか…」


しかし目論見通り、九尾の狐の人柱力を引きずり出し、捜す手間が省けたのだ。
これを機に一気に九尾を手中におさめたいところだが、他の人柱力が木ノ葉に助力しているとなると話は別だ。

けれど、“神羅天征”こそ一時的に尾獣化した人柱力によって防がれたものの、それ以降は此方に手を出す様子はない。
どうやら木ノ葉の里に住まう人々を尾獣化することで守ってからは、挙って撤退したようだ。

疑惑を抱きつつも、ペイン六道は信念を貫かんと、波風ナルの前に立ちはだかるペイン天道のもとへ集結した。

「俺は…俺の正義を遂行する」













両足を失った今、両手しかないペイン畜生道を投げることで里の空中で“口寄せの術”を発動させる。

“神羅天征”で木ノ葉の里を壊滅させたペイン
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