第三章
[8]前話
「食いもの出るんやったらな」
「いいか」
「ええわ」
こう神に答えた。
「ほんまな」
「そうか、では必要な時にだ」
オロクンは神への無礼に眉を顰めさせる周りの者達を止めつつ余裕を以て応えた。
「お前の務めは何かと問うのだ」
「この鞭にやな」
「そうするのだ、いいな」
「わかったわ、ほな帰るわ」
こう言ってだった。
ダメカは神に感謝も言わず宮殿を後にした、周りは何という奴かと憤ったがオロクンは笑って言った。
「まあ見ておれ」
「そうしていいのですか」
「あの者については」
「そうなのですか」
「すぐに面白いことになる」
余裕の笑みで言うのだった。
「だから静かにな」
「見ていることですね」
「あの者については」
「それでいい」
こう言って周りに何もさせなかった、ダメカはすぐに王に家族これまた欲深で下品で喧嘩っ早い嫌われ者の彼等と共にその鞭を見せて話した、だが。
王はその鞭を見てだ、こう言った。
「そんなものに頼ってばかりではな」
「あればええってことで」
「そう言うか、なら出してみよ」
「ほな」
ダメカは自分が手に持つ鞭に笑顔で尋ねた。
「お前の務めは何や」
「ぶちのめることだ」
鞭は即座に答えてだった。
ダメカの手から離れてだった。
彼とその一家を散々に打ちだした、一家はそれぞれ必死に逃げたが鞭は彼等を追ってしこたま打った、そして満身創痍にさせた。
王はそれを見てだ、周りの者達に言った。
「あまり欲を張るとな」
「こうなりますね」
「報いを受けますね」
「そうなりますね」
「そうだ、いい教訓だ」
こう言うのだった、ダメカは結局一家と共に大怪我を負って暫く動けなくなった。人々はそんな彼等を見て当然のことと話した。
オロクンは一部始終を見てだ、周りに話した。
「この通りだ」
「真に正しい者には恵みを与え」
「真に邪な輩には報いを与える」
「そういうことですね」
「つまりは」
「そうだ、だからあの時止めたのだ」
オロクンは宮殿の玉座に座った状態で話した。
「そなた達が罰するには及ばなかったからな」
「オロクン様ご自身がですね」
「あの者にそうした」
「そうなのですね」
「そうだ、だからな」
それでというのだ。
「止めた、神々はこれからもな」
「正しき者には恵みを」
「そして国も救う」
「邪な者には報いを」
「そうしていきますね」
「未来永劫な」
周りに微笑んで話した、そうして海神の務めを果たしていった。神は人に務めは何かと問わず自らそうした。
海神の贈りもの 完
2023・10・13
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