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夏の仲直り
第二章

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 そのうえでビーチの時間を過ごし夕方には着替えて帰路についたが。
 全員でワゴン車に乗った、二人は後ろの座席に並んで座ったが。
「仕方ないな」
「本当にね」
 隣同士でも顔を背け合っていた、もう全員水着からラフな夏服になっている。
「あんたと隣同士もね」
「車狭いからな」
「仕方ないわよ」
「こうなるのもな」 
 顔を左右にそれぞれ背け合ったまま言い合ってだった。
 ビールを飲んでいないもっと言えば酒を飲めない友人が運転したうえで帰りはじめた、車はビーチのある場所からだ。
 彼等の地元に戻った、多少時間をかけてそうしたが。
 彼等の解散場所に着くとだ、二人の友人達は車中の彼等を見て笑った。
「おいおい、あんなに喧嘩してたのに」
「もう仲直りしてるわね」
「肩寄り添え合って」
「頭を傾けて」
 相手の方にだ、そうなっていてだ。
 それぞれ気持ちよさそうに寝ていた、その光景をだ。
 彼等はそれぞれのスマートフォンで撮影してから二人を起こした。
「着いたぞ」
「起きて」
「んっ?もうなんだ」
「もう着いたのね」 
 二人も言われて目を覚ました、そして。
 次の瞬間にお互いを見てだ、気恥ずかしそうな顔になった。
「いや、寝ていてな」
「それでよ」
「ついついな」
「寄り添い合ったのよ」
「いや、これ見ろよ」
 友人達は言い繕おうとする彼等にだった。
 それぞれが撮った画像を見せた、そのうえで言うのだった。
「こうだったんだよ」
「さっきまでね」
「もう言い逃れ出来ないぞ」
「仲直りしたでしょ」
「そ、それは」
「寝てるうちにだから」
 二人はまだ言い繕うと無駄な努力にかかった。
「不可抗力よ」
「こんな風になるなんて」
「隣同士だったし」
「そうなるよ」
「その割には仲よさそうだろ」
 これが友人達の返答だった。
「どう見てもな」
「喧嘩はいつものことだし」
「それでいつもすぐに仲直りしてるしな」
「今回はこれでいいでしょ」
 その寝姿の画像を自分達も観つつ言うのだった。
「これでね」
「喧嘩はもう終わり」
「それで仲よくしなさい」
「こうなったんだからな」
「だから違うのに」
「仲直りなんて」
 二人はまだ無駄な努力を続けた。
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