第六話 信の誓いその十
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不意打ちにだ。何かが出て来たのだった。
「!?あれは」
「何だ!?」
鬼達がだ。まずそれを見て言った。
それはいきなり空から来てだ。空中の義仙にだ。
一気にだ。斬りかかる。それを見てだ。
宗朗が言う。
「まさか。あれは」
「そんな筈がない!」
しかしだ。それはすぐにだ。
幸村がだ。こう言ったのである。
「あの娘は死んだ筈じゃ!」
「け、けれどあの剣撃は」
「それに姿は」
千姫は風の様に来たそれの姿を見て述べた。
「どう見ても」
「しかしじゃ。あの娘は」
「いや、待ってくれ」
宗朗は尚も否定しようとする幸村に言う。義仙と戦うその姿を見ながら。
「柳生義仙も甦ったんだ」
「そうですね。それではです」
「あの娘もまた」
半蔵と又兵衛も言う。
「甦ってもおかしくはないです」
「そうして再び」
「ううむ、これはまことなのか」
まだ釈然としないままでだ。幸村は述べた。
「十兵衛、まさか」
「十兵衛、あの人ですね」
明日夢はそれを聞いてすぐに言った。
「かつてあの眼帯の人と相打ちになって消えた」
「そうじゃ。しかしじゃ」
それでもだとだ。幸村はまだ言う。
「相打ちになったのじゃ。それでは」
「普通に生きていられる筈がないんですね」
「では何故じゃ」
幸村はここでは自問自答する。そしてその自答の結果は。
「まさか。まことに誰かが甦らせたのか」
「久し振りに会ったな」
その女が言った。見れば。
紅の長い髪を白縄で無造作にまとめている。セーラー服を思わせる桃と赤の服を着ており太腿がほぼ剥き出しになっている。顔はまだ幼い感じだがその青い目からは非常に強いものが見える。その少女がだ。両手の剣を縦横に振るい義仙と闘っている。
その少女がだ。義仙に対して言っていた。
「しかしそれでも」
「それでもだというのね」
「強さは変わってはいないな」
こう言うのである。
「私と闘うだけの強さはあるな」
「そうね。そしてそれは」
「私もか」
「ええ、そうよ」
義仙もだ。その剣を繰り出しながらだ。
少女に対してだ。こう言うのだった。
「生憎だけれど力は落ちていないわ」
「その様だな。それでこそ」
どうかとだ。女はまた言う。
「この柳生十兵衛の相手に相応しい」
「そうね。どうやらこの戦い思った以上に楽しめそうね」
「私が戻ったからにはだ」
十兵衛は名乗ってからまた言ってみせた。
「御主等の好きにはさせん」
「言うわね。それじゃあ」
「どうするつもりだ」
「今はこれで帰らせてもらうわ」
楽しげに笑ってだ。義仙は十兵衛に答えた。そのうえで。
一旦間合いを離してだ。再び十兵衛に述べる。その述べる言葉は。
「悪いけれどね」
「後
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