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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
八十二話 新たなる戦いの序曲
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帝国暦486年4月2日12:00
ヴァルハラ星系、首都星オーディン、銀河帝国、銀河帝国軍、ミューゼル艦隊旗艦ブリュンヒルト、
ラインハルト・フォン、ミューゼル

 「閣下、今日の午後の予定ですが、ミュッケンベルガー閣下の元帥府にて艦隊司令官による作戦会議が開かれます」
「分かった…二人の時は閣下は止せ、キルヒアイス」
「恐れ入ります…ですがそうしてしまいますと、つい叱ってしまいそうで」
「何だと…なんで叱られなきゃいけないんだ」
「アンネローゼ様にきつく言われていますので…いたらない所があったら叱ってあげて、と」
「姉上もキルヒアイスも…いつまで俺を子供扱いするつもりなんだ?」
無機質で武骨な艦橋も、二人きりの時は穏やかな風が吹いている。
 到頭ここまでたどり着いた。俺の艦隊、そして俺の艦、ブリュンヒルトー正規艦隊の司令官たる中将には個人旗艦が下賜され、一度下賜された艦は没収される事はないー新機軸の実験艦という事だったが、そんな事はどうでもよかった。白亜の美しい艦形、正にワルキューレの戦乙女だ。
「乗艦時や下艦の際にこの艦を眺めているラインハルト様の姿はどうみても…欲しかった玩具を手に入れた子供にしか見えませんよ」
「…見ていたのか」
「当たり前じゃないですか、行きも帰りも一緒なんですから」
「まあ、確かにそうだな」
…子供扱いされても仕方ないな、本当の事なのだから。

 昨年のマッケンゼン艦隊の壊滅、俺の艦隊の前身でもあるヒルデスハイム艦隊の敗戦から一年が過ぎた。あの戦いの結果、ヒルデスハイム伯爵は軍から身を退き、俺が艦隊を引き継いだ。

“貴族は帝室の藩塀としての気概と実力を取り戻さねばならない”
そう言って軍に復帰したヒルデスハイム伯爵は志半ばでの退場を余儀なくされた。

”卿は勝てるか、あの男に“
”卿はこの現状を変えたいのではないのか“

叛乱軍の重要人物、ウィンチェスターの打倒、そしてヒルデスハイム伯爵の秘めた想いと俺の願望。伯は自らの進退と引き換えに俺を中将に昇進させた。帝国の実権を握り、姉上を救い出して皇帝を倒し、そして叛乱軍を倒し宇宙を統一する…伯がそこまで見抜いていたかは分からない。だが彼は俺に想いを託したのだ。その結果、俺はブラウンシュヴァイク一門の子飼いとして見られている。だが今はそれでいい。どんな手管を利用してでも、登り詰めてみせる……。


14:15
ミュッケンベルガー元帥府、ミューゼル艦隊司令部執務室、
オスカー・フォン・ロイエンタール

 「昼間からワインとは大層なご身分だな、ロイエンタール」
「そういう卿こそ手にしている物はなんだ、ミッターマイヤー」
「赤毛ののっぽから密告があったのさ、此処でワインの試飲会を一人でやっている奴が居るって」
「おいおい、
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