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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
第八十一話 戦い、その後
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者達の妬みを買って、その能力を発揮出来る環境ではない。おそらく、帝国の現状は大ルドルフ皇帝陛下の望んだ者ではない、と私は思っている」
伯爵は俺にもワインを注ぐと、しゃべり疲れたかの様に自分のグラスを一気にあおった。意外だった、伯爵がこんな事を言うとは…一礼して俺も一気にワインを飲む。
「まだ軍はいい方だろう。貴族平民関係ないからな。だがそれでも両者の溝は深い。伯爵の私が言うのも変な話だがな…軍に復帰するまで、当然だと思っていた権利は、私の力による物ではない事に気付かされたのだ。私に皆が傅くのは家名、地位にであって、それは私自身の力によるものでは無いという事に」
伯爵は一体どうしたのだろう。表に出す物ではないと言いながら、それを吐露してしまっているではないか…。
「それは仕方の無い事かもしれない。だが同時に寂しい事でもある。軍の地位はともかく、生まれによって人が卑下されるなどあってはならないのだ。人は人として正しく評価される社会であるべきなのだ……ふん、まるで共和主義者の様な言い草だな……卿はこの現状を変えたいのではないのか」
伯にとってこの話は酒の力が必要なのだろう、俺が二杯目を飲む間にボトルは空になってしまっていた。確かに酒の力が必要かもしれない、伯爵の話す内容は、その立場の人間としては危険極まりない内容だった。伯爵の言っている事は本心なのだろうか。答えるべきか、はぐらかすべきか…

 俺は……。
「……もしそうだとしたら、どうなさいますか」





(敢闘編 完)
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