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母を許した日
第四章

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「わしがね」
「会う場所をですか」
「セッティングするよ」
「そうしてくれますか」
「それで久美子ちゃんもうご主人と娘さんいるんだね」
「はい」
 親戚の人にその通りだと答えた。
「今お話した通りに」
「だったらご家族もね」
「あの人にですか」
「紹介してくれるかな」
「私の家族として」
「娘さん冴子さんから見たら孫だしね」 
 このこともあってというのだ。
「実は冴子さん久美子ちゃんのことを知らないんだ」
「縁を切ってそれ以来会っていないので」
「こっちにも来なかったね」
 親戚の集まりにもというのだ。
「こっちの誰にも会わなかったし」
「あの人に会いたくなかったしお話もです」 
 それもというのだ。
「聞きたくなかったので」
「だからだね」
「はい、ですが」
「そうした状況だったからね」
「私のことを知らないんですね」
「何処でどうしてるか。ただ筆談でね」
 喋ることは出来なくなったがというのだ。
「よく久美子ちゃんのこと言ってるよ」
「私のことを」
「元気だろうか厳しくし過ぎたとか悪いことをしたとか」
「そうなんですね」
「親だからね」
 だからだというのだ。
「片親だから余計に頑張ろうと思って」
「私に厳しくしていたんですね」
「そうだったんだ、けれどね」
「私が出て行って」
「それからずっと久美子ちゃんのことを気にかけていて」
 そうしていてというのだ。
「それでね」
「後悔しているんですね」
「うん、それで冴子さんと会うんだね」
「はい」 
 返事は一言だった。
「先程お話させてもらった通りに」
「うん、じゃあ場所はね」
「そちらで、ですね」
「だから旦那さんと娘さんをね」
「連れてきます」
 久美子は親戚の人に約束した、そしてだった。
 親戚の人は場所を冴子が暮らしている市のとあるレストランにした、それが決まると久美子に連絡した。久美子もそこでいいと答えてだった。
 夫と娘を連れて会う日と時間にレストランに行った、するとそこにだった。 
 すっかり年老いてやつれた冴子がいた、腰も曲がり弱々しい。その彼女を見てだった。
 久美子はすぐにだ、彼女に問うた。
「お母さん?」
「・・・・・・・・・」
 母は答えなかった、だが。
 ペンとメモ用紙を出してだった、書いてその書いたものを久美子に差し出した。
『久美子、元気だった?』
「ええ」
『よかったわ、ご主人と』
「娘よ」 
 久美子は母に答えた。
「佳織っていうの」
『そうなのね』
「それで今から」
「お祖母ちゃんよね」
 その佳織が冴子に言って来た。
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