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外に出たがる理由
第一章

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                外に出たがる理由
 ルイジアナ州ニューオーリンズに住むクリスタル=ロバートアメリカンフットボーラーの様な体形で顎髭を生やした黒く短い髪の毛に青い目の額の広い彼はある野良猫を拾ってきて妻のキャスリーンアフリカ系で小柄で愛嬌のある顔立ちの彼に言った。仕事は二人でパン屋をしている。
「散歩の帰りにだよ」
「いたのね」
「こっちをやけに見ていて」
 抱いている雄の黒猫を見つつ話した。
「首輪もないし」
「野良猫ね」
「だからだよ」
 それでというのだ。
「拾ってきたよ」
「それで家族になのね」
「迎えないか?」
「いいわね」
 妻の返事は明るいものだった。
「それじゃあね」
「この子は僕達の家族だね」
「今からね」
「じゃあ動物病院にも連れて行って」
「診てもらってね」
「首輪も付けて」
「名前も考えましょう」
 夫婦でこうした話をしてだった。
 実際に獣医に診せて首輪を買って付けた、そして名前もだった。
 パパ=レグバと名付けた。パパは愛嬌があり人懐っこかったが。
「自分が触るのは好きでも」
「触られるのは嫌いね」
「うん、首輪を付けるにも」
 その際もというのだ。
「随分とね」
「苦労したわね」
「そんな子だね」
「ええ、それにね」
 妻は夫にさらに言った。
「家猫にしたくて」
「何とかね」
「お家から出さない様にしても」
 それでもというのだ。
「すぐにね」
「脱走するね」
「ええ」
「元野良だったからかな」 
 夫は考える顔で言った。
「そのせいかな」
「そうよね」
 妻もそうではないかと応えた。
「やっぱりね」
「ずっと外でいたから」
「それでね」
 その為にというのだ。
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