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金木犀の許嫁
第六話 同居のはじまりその五

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「十六になってるし」
「私ももうすぐですね」
「けれどね」 
「それで結婚する人は」
「いないわよね」
「今は殆どそうですね」
「流石に一生は嫌だけれど」
 一生独身はというのだ。
「けれどね」
「それでもですね」
「高校生の間はね」
「結婚はとてもとても」
「そうしたこともしない」
「そうですよね」
「ははは、まあ仲よくやってくれよ」 
 佐吉は真面目に話す四人に今度は大人もっと言えば親の余裕と器の大きさを見せてそのうえで笑って言った。
「今は四人でな」
「すぐに五人になるけれど」
 神世も言った。
「仲よくね」
「うん、やってく。それじゃあ」
 佐京が四人を代表して応えた。
「ニュージーランドでも頑張ってきて」
「兄ちゃん、あっちでも元気でな」
「お二人で健康にね」
 秀樹と朝華も言った、そしてだった。
 猿飛家の両親は笑顔でニュージーランドに向かった、その後で。
 西宮家の両親がだ、四人に言った。
「じゃあお父さん達は仕事に戻るが」
「あんた達はこれから神戸に行くわね」
「それからは仲よくな」
「あんた達で暮らしていきなさい」
「そうします」 
 ここでも佐京が応えた。
「これから」
「うん、夜空を宜しくな」
「大切にしてね」
「そうします」
 西宮家の両親に約束した、そしてだった。
 二人も去ってからだ、佐京は夜空に言った。
「それじゃあ」
「今からよね」
「うちに行こう」
 こう言うのだった。
「そしてその時から」
「私達がは一緒に暮らして」
「同じ生活をはじめるよ」
「そうなるわね」
「多分二人の家具も届いているから」
 夜空だけでなく真昼のものもというのだ。
「帰ったらね」
「お屋敷に」
「引っ越し作業もしよう」
「それじゃあね」
 夜空は佐京のその言葉に頷いた、そうしてだった。
 今度は四人が西宮家の両親に笑顔で空港で見送られてだった。
 自分達の今の場所に向かった、大阪から神戸の猿飛家の屋敷にまで着いたのはそれなりの距離があった筈だが一瞬の気がした。
 それでだ、夜空は目の前にあるお屋敷を見て言った。
「ワープしたみたいね」
「新空港からね」 
 真昼は夜空の隣から言った、彼女もお屋敷を見ている。
「そうよね」
「距離あったのにね」
「本当にね」
「一瞬だったわね」
「ここまで」
「そうですね、電車で行き来すると結構な距離がありますが」
 白華も言ってきた、見ればお屋敷の正門の向こうにある玄関にはもう大きな段ボール箱が幾つもある。それが姉妹の実家から送った荷物だった。
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