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邪教、引き継ぎます
第二章
14.静寂の塔
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 大灯台の高層や中層から突入することは明らかに不可能だったが、低層には着陸可能と思われる場所があった。

 広大なバルコニー状となっているところに着陸すると、フォルはここまで三人を運んできたバピラス四体に頭を下げ、あらためて塔を眺めた。

「大きい、ですね」

 それは、塔と呼ぶにはあまりに太く、そして高すぎた。
 まっすぐ見れば、まるで城のような外観。見上げれば、高層は空を突き破っているかのようだった。はるか遠い(いただき)は霞んでいる。

「そりゃのう。ロンダルキアを見張れるくらいじゃぞ」
「でも雰囲気が変じゃないか? なんかこう、死んでる感じというか」

 老アークデーモン・ヒースは、バピラスの背を撫でながら。バーサーカーの少女・シェーラは、低層の外観を確認しながら。それぞれ感想を述べる。

 シェーラの言うとおりだった。塔全体が朽ち気味であり、外壁も崩れているところが多い。
 何よりも――。

「たしかに、そんな感じはします」

 少なくとも低層からは、生き物の気配がまったく漏れてきていないのである。物音ひとつ外に聞こえてこない。フォルの耳には、バピラスの整え中の荒い呼吸音だけが耳に入ってきていた。

 不気味さを感じながら、三人は塔の中に入っていった。



「……これ、絶対おかしいな」

 塔内部を淡々と上がってきた三人の先鋒であるバーサーカーの少女が、ついに断言に至った。

「ふむ。中も静かすぎじゃの」
「そうですね。人間が完全に管理しているのであれば別ですが、そんな感じにも見えませんし」

 高層近くまで上がっても、確認できるのはわずかな小動物のみ。誰もいない。
 人間の管理が行き届かない塔は、いろいろな種族・動物がたむろしていることが普通である。これだけ静かというのは、過去にロトの子孫たちや人間の兵による掃討があったと仮定しても考えにくいことだった。

「大きな力を持った者が、我々に先んじて上がっていったばかり――というのは考えすぎかの」

 その老アークデーモンの指摘は、フォルの体に緊張を走らせた。

「あいつだったりしてな」

 バーサーカーの少女も、斧を握る手に力を込める。
 フォルと彼女の頭の中に浮かんでいたのは、もちろん同じ人物だ。

 青い剣士。
 ロンダルキアの猛者たちを次々と殺害し、大神殿に乗り込み、大神官ハーゴンと破壊神シドーを倒したロトの子孫三人組の筆頭、ローレシア王・ロスである。

 ここに彼が現れるというのは、あまりにタイミングが合いすぎだ。だが可能性がゼロなわけではない。

「以前大神官ハーゴン殿と悪魔神官ハゼリオ殿の指示を受け、我々アークデーモンがここにグレムリン四人を遣わしていたことがある。そのときは塔の中がこ
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