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嫌な上司の末路
第二章
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 彼がいなかった、それでそこの知り合いの社員に尋ねた。
「徳光さんは」
「クビになったよ」
 その社員は岩崎に満面の笑顔で答えた。
「専務の収賄と脱税とセクハラとモラハラとパワハラがばれて」
「専務派だったのね」
「あいつもそうしたことしててさ」
 収賄等をというのだ。
「しかも会社の金横領もしてキャバクラで遊んで」
「そんなことしてたんですか」
「そこのお姉さんに酔って襲い掛かって」
 そうしてというのだ。
「思いきり急所蹴り飛ばされて」
「それは恰好悪いですね」
「大きい方まで漏らして気絶したところを」
 そのうえでというのだ。
「襲ったこと通報されて」
「捕まったんですね」
「そこでこれまでの悪事が徹底的に取り調べられて」
「ああ、そこでなんですね」
「悪事がばれて」
「警察に捕まって」
「それが専務派にも及んで」
 そうなってというのだ。
「全員芋蔓式にだよ」
「捕まってクビですね」
「そうなったよ」
「凄い展開ですね」
「ちなみにお店の方の賠償金もな」
 これもというのだ。
「漏らした分な」
「払わさせられて」
「しかもそれが奥さんにばれて」
 そうもなってというのだ。
「離婚で慰謝料だよ、娘さんにも袋叩きにされて」
「色々コンボが続きますね」
「もうすぐ刑務所行きだよ」
「それでいなくなったんですね」
「そうだよ」 
 満面の笑顔でここまで話した。
「それでな」
「もういないんですね」
「いい人が部長になってくれたし」 
 そうもなってというのだ。
「うちも大助かりだよ」
「いいですね、こっちでも評判悪かったし」  
 岩崎も自然に笑顔になった、そのうえで応えた。
「気持ちいい仕事が出来ますね」
「実際にやっていこうな」
 その社員は明るい声で応えた、そうして実際に気分よく仕事をした。岩崎は会社に帰って先輩にその話をしたが。
 先輩は頷いてだ、笑顔で彼に言った。
「ああした奴はな」
「そうなりますね」
「ああ、しかしそこまでなるなんてな」
 満面の笑みになって言うのだった。
「凄いな」
「もう人生完全終了ですね」
「ああ、それであいつに言うことはな」
 先輩はさらに言った。
「一つしかないな」
「何ですか?」
「ざま見ろだ」
「その言葉ですね」
「お前もそうだろ」
「本当に嫌な奴でしたから」
 岩崎もそれでと応じた。
「思いますね」
「そうだな、本当にな」
「ざま見ろですね」
「ああ、よかったよ」 
 二人で満面の笑みで話した、そして徳光がいなくなったことを彼等の会社でも喜んだ。嫌な奴がその性根に相応しい末路を迎えたと。そのうえでそれぞれの仕事に励んだのだった。


嫌な上司の末路   完


 
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