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金木犀の許嫁
第四話 同居の準備その十二

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「善哉もね」
「好きだからだな」
「それでね」
 その為にというのだ。
「食べてくるわね」
「二人でな」
「機会を見て」
「是非な、そしてだ」 
 父はさらに言った。
「楽しむんだ」
「食べてそうして」
「ああ、お父さん達も行ったがな」
 その夫婦善哉にというのだ。
「何度か」
「何度かなの」
「二年位前にも行った」
 母を見つつ夜空に話した。
「そうしてきた」
「そうだったの」
「仕事帰りにな」
「二人で待ち合わせをしてね」
 母も言ってきた。
「そうしたわね」
「そうだったな」
「あそこは幾つになっても行っていいから」
「結婚していなくても新婚でもな」
「それで熟年になってもね」
「そうしたお店だからな」
「そういえば」
 ここで真昼が言った。
「夫婦善哉で主人公二人があのお店に行ったのは」
「結構歳を取ってからだろ」
「一緒に暮らす様になってね」 
 実はこの作品の二人は何かと事情がある、男の方は最初結婚していて浮気をしてその相手と一緒になったのである。
「それからね」
「行ったな」
「ヒロインの人はもうね」
「歳を経てな」
「でっぷりと太ってたって」
「書いてあったな」
「そうだったわ」
 その店に行った時はだ。
「そうね」
「そうだったからな」
「お父さんお母さんみたいな歳でも行っていいのね」
「そうなんだ」
「そうしたお店ね」
「だからお父さんお母さんも行ってるしな」
 何度もというのだ。
「それでだ」
「私もなのね」
「今度行ってもいいしな」
 夜空にまた話した。
「そしてな」
「これからもなのね」
「行っていいんだ」
 こう言うのだった。
「時々でもな」
「そうなのね」
「それこそお爺さんお婆さんになっても」
 熟年どころか老年になってもというのだ。
「行っていいんだ」
「そうしたお店なの」
「ああ、ただな」
 ここで父はこうも言った。
「書いた織田作之助さんはな」
「作者さんは」
「略して織田作さんはな」
 この愛称は今でも用いられている、愛称で呼ばれるところにこの人の愛され方が出ていると言えるだろうか。
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