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大阪のキョンシー
第四章

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「言うことはしない」
「そうなのね」
「そうだ、そしてわしの趣味はお笑いの鑑賞と野球観戦だが」
 キョンシーは自分のペースで話していった。
「吉本もどうなるか。阪神が日本一になって何よりだ」
「本当に大阪ね」
 亜梨沙も聞いて思うことだった。
「中国って感じがしないわ」
「だから馴染んだのだ」
「そうなのね」
「それで大阪を満喫しているが」
 そうであるがというのだ。
「ここで女の子三人連れに出会うとはな」
「ホテル街で?」
「ここは大抵カップルでホテルに出入りするところだ」
 そうだというのだ。
「一人の場合もあるが」
「デリヘルとかだよな」 
 真琴は先程亜梨沙に言われたことをキョンシーに話した。
「お姉さんとかお客さんとか」
「昔は近くで店の紹介をやっていた人もいた」
「そうなのかよ」
「松本竜助さんという人がな」
「ああ、島田紳助さんの相方の」
「その人がな」
「もうお亡くなりになってるな」
 そして島田紳助も芸能界にいなくなった、これもまた人間の一生ということであろうか。人生程わからないものもない。
「それは知ってるよ」
「今は誰がしているか」
「それは知らないか」
「そこには行かないからな」
 そうした人がいる場所にというのだ。
「だからな」
「それでか」
「うむ、それでどうして女の子三人でいるのだ」
「ここに幽霊や妖怪がいるか見に来たの」
 由乃が正直に答えた。
「それで来たの」
「そうだったのか」
「ホテルが目的ではなかったわ」
 このこともだ、由乃は正直に答えた。
「別に」
「ここはホテルが主役だがな」
「それでもよ」
「そうなのか」
「それで外国の幽霊や妖怪がいるのかなと思っていたら」
 それならというのだった。
「貴方がいやの」
「そうなのだな」
「いや、キョンシーがいるなんて思わなかったわ」
 亜梨沙は明るく言った。
「大阪は妖怪も国際色豊かね」
「そう言えるか、しかしお主等わしに食わると思ったな」
 ここでキョンシーはこのことを尋ねた。
「キョンシーは吸血鬼で人も食うしのう」
「中国の吸血鬼なのよね」
「吸血鬼は世界中におる」
 亜梨沙に答えて述べた。
「別に東欧だけにおるものではない」
「世界中にいてね」
「中国にもおってな」
「キョンシーがそうなのよね」
「日本にもおるであろう」
 吸血鬼は亜梨沙に問うた。
「そうであるな」
「首が飛ぶろくろ首ね」
「友達におるが人の血は三代前から飲んでおらんという」
「あら、そうなの」
「何でも苺やトマトやアセロラのジュースの方が身体によくて美味いということでな」
 それでというのだ。
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