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幽霊列車の車掌
第六章

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「言われてみればね」
「そうでしょ」
「そうなるわね」
「時代って移り変わるから」
「今は蒸気機関車が幽霊になっても」
「未来はね」
 これからはというのだ。
「わからないわよ」
「そうなのね」
「将来はわからないわ、ただ新幹線とかが幽霊になっても」
「何か違うわね」
「そうよね、やっぱりね」
「幽霊列車は蒸気機関車に限るわね」
「そして車掌さんは」
 先程話をした人はというのだ。
「ああしてね」
「幽霊よね」
「骸骨じゃないかも知れないけれど」 
 先程の車掌さんの様にというのだ。
「けれどね」
「幽霊列車ならね」
「車掌さんも幽霊じゃないと」
「違うわね」
「ええ、どうしてもね」
「幽霊には幽霊ね」
 葵も言った。
「そういうことね」
「そうなるわね」
「確かにね、じゃあその幽霊列車見たし」
「もう帰りましょう」
「寒いしね」
「やっぱり夜は冷えるわね」 
 二人でそうした話もした。
「本当に」
「だから帰って」
 それぞれの家にというのだ。
「寝ましょう」
「それでまた明日学校ね」
「ええ、幽霊列車は見られたし」
 それで目的を果たしたというのだ。
「だからね」
「それでよね」
「もうね」
 それこそというのだ。
「帰ってね」
「寝ることね」
「そうすることよ」
 こうした話をしてそのうえで二人が暮らしているマンションに自転車で戻った、その時に環状線を見たが今は静かだった。
 それでだ、仁美は葵に言うのだった。
「あの列車通ったら面白いわね」
「そうね」 
 葵もそれはと応えた。
「環状線だしね」
「何周も出来るからね」
「だからここで通るの見たら面白いわね」
「そうよね」
 こうした話をするのだった、そしてだった。
 二人は線路を見た、だが幽霊列車は通らなかった。それでそのことはいささか残念に思いつつマンションに戻ったのだった。


幽霊列車の車掌   完


                   2024・1・28
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