第六章
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「考えないことだよ」
「そうなのね」
「それよりもでしょ」
七々瀬が言ってきた。
「今年のホークスがどうか」
「そのことね」
「そう、どうなるか」
「それね、まあ和田さんがいて」
咲もその話に乗った。
「有原さんもでね」
「先発がどうかよね」
「正直不安よ」
咲はこう返した。
「確かなエースがね」
「欲しいっていうのね」
「有原いてくれてるけれど」
それでもというのだ。
「あと一人ね」
「柱ね」
「そうなってくれる人が欲しいわ」
「それでその人は誰？」
「モイネロさんが先発に転向するけれど」
これまで中継ぎだった彼がというのだ。
「やっぱりあの人よ」
「バウアーさんね」
「あの人が来てくれたら」
そうすればというのだ。
「本当にね」
「百人力ね」
「そうよ」
こう言うのだった。
「ただ戦力になるだけじゃなくて」
「その人柄でよね」
「咲がいつも言ってる様にね」
まさにというのだ。
「本当にね」
「チームのモチベーション上げてくれるっていうのね」
「野球への心構えを見せてくれてね」
チームにというのだ。
「そうなれば士気も上がるし育成にもよ」
「影響するから」
「だからよ」
その為にというのだ。
「本当にね」
「バウアーさんに来て欲しいのよね」
「ええ」
まさにと言うのだった。
「咲としてはね」
「優勝だけじゃないわね」
「育成も言ったでしょ」
今しがたそうしたというのだ。
「両方を考えてよ」
「バウアーさんに来て欲しい」
「そうよ」
まさにというのだ。
「心から思ってるわ」
「そういうことよね」
「ええ、和田さんは残ってくれたし」
またこの人の名前を出して話した。
「それならね」
「バウアーさんにも来てもらって」
「活躍して欲しいわ。ただこのことは」
咲はここでクラスの中を見回した、そしてベイスターズファンの北乃明日夢がいないことを確認して未晴に対して小声で囁いた。
「少年には内緒よ」
「あの娘ベイスターズファンだからね」
「それでバウアーさん残留を願っているから」
ベイスターズにというのだ。
「だからね」
「あの娘には内緒ね」
「そこはお願いね」
「わかってるわ」
未晴は微笑んで応えた、そうしてだった。
咲は野球の話を止めて新発売のお菓子の話をした、そちらの話は春華達も入って楽しく進んだ。危険物でなくなった彼女は実に朗らかだった。
危険物には触れないでおくこと 完
２０２４・１・２８
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