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金木犀の許嫁
第一話 お見合いその十二

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「凄い努力だと思うけれど」
「そんなに走ってないの」
「朝はね。朝練って時間も短いし」
 部活のそれがというのだ。
「特にね」
「そこまで走ってないの」
「まあ五キロ位ね」
「五キロもなの」
「だから運動部だから」
 それでというのだ。
「それ位はね」
「走るの」
「そうよ」
 こう言うのだった。
「もうね」
「そうなの」
「だからね」 
「努力でもないのね」
「そうよ、努力はね」 
 こう呼ばれるものはというのだ。
「修行と同じかしらね」
「修行と?」
「自分を磨く。私は特に磨く為にね」
「走ってるわけじゃないの」
「むしろ他のことでね」
「努力してるの」
「そうじゃないかしらね」
 自分で笑って言うのだった。
「お勉強とかね。テニスだとね」
「部活の」
「研究してるから。本とか読んで」
「そっちの勉強してるのね」
「だからね」
 それでというのだ。
「そういうのはね」
「努力とは思ってないのね」
「そうよ、けれど努力しないと」
「よくならないわね」
「何でもね。誰でも努力すればよくなって」
「しないとなれないわね」
「よくね、さっき話した大谷さんだって」
 この人もというのだ。
「バケモノみたいな才能あると思うけれど」
「敵チームの人が絶望して脱帽する位に」
「ホークスファンの人達とかね」
「あの人も努力して」
 そうしてというのだ。
「その結果ね」
「ああなったのね」
「何でも努力して」
「よくなるのね」
「そうだと思うわ」 
 学校の朝まだはじまったばかりの時にこんな話をした、真昼はこの話の後で部室に戻って着替えて自分のクラスに行った。そして夜空は自分のクラスにそのまま入ったのだった。そうしてそれぞれの学校での一日をはじめたのだった。


第一話   完


                    2023・11・8
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