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金木犀の許嫁
第一話 お見合いその十一

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「冷えたままでね」
「終わりね」
「シャワーは身体を奇麗にするだけで」
「あまり温まらないから」
「じっくりと」
「湯舟に浸かって」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「ここでも温まって」
「冷えない様にするのね」
「そうしていってね、じゃあお姉ちゃんこれでね」
「部活終わったのよね」
「朝練はね、だから着替えて」
 そうしてというのだ。
「自分のクラスに行くから」
「そうするのね」
「いや、いい汗かいたわ」
 姉は陽気にこうも言った。
「今日もね」
「朝から」
「ランニングしてね」
「お姉ちゃん努力家よね」
「そう?普通でしょ」
 姉の返事は何でもないといったものだった、そのうえで夜空に対してこんなことを言うのであった。
「部活してたらね」
「運動部だと」
「毎朝走ることもね」
 このこともというのだ。
「本当にね」
「普通なの」
「それで朝練あったら」
「そこで走るのね」
「それがね」
「普通で」
「別にね」
 これといって、というのだ。
「努力でもね」
「ないのね」
「そう思うけれど」
「お姉ちゃんがそう思っても」
 それでもとだ、夜空は姉に言った。
「私運動あまり得意じゃないから」
「それでなの」
「毎日走るって凄いから」 
 そう思うからだというのだ。
「本当にね」
「お姉ちゃんが努力家だっていうのね」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「私から見たらね」
「そう言ってくれると嬉しいけれど」
「違うっていうのね」
「料理部だって包丁研いだりするでしょ」
「当然ね」
 夜空はそれはと返した。
「やっぱりね」
「それと同じでね」
 それでというのだ。
「走ることはね」
「普通なの」
「そりゃ何十キロも走るなら」
 それだけの距離をというのだ。
「もうそれはね」
「努力?」
「というか毎日それだと」 
 それだけ走っていると、というのだ。
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