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田舎も住めば都
第二章

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「バスも電車も空いてて空気も奇麗でな」
「のどかだろ」
「いい感じでしょ」
「東京だったらな」
 家で両親に九州の海の幸の料理を食べつつ応えた。野菜も九州産だ。
「登下校の時なんか」
「バスも電車も満員だろ」
「絶対にね」
「そうだしな、本数は少ないけれどな」 
 それでもというのだ。
「空いてるから座れるしな」
「空気も奇麗だな」
「そしてのどかでしょ」
「夜なんかな」 
 この時間帯はというのだ。
「静かでよく寝られるよ」
「東京は不夜城だからな」
「夜も賑やかだしね」
「前に住んでいたマンションだってな」 
 一家でというのだ。
「何かと騒がしかったな」
「夜だってな」
「そうだったわね」
「けれどそれが」
 佐賀ではというのだ。
「静かだよ、しかも皆穏やかだしな」
「東京と違ってな」
「平和でしょ」
「変な奴がいても半グレ殆どいないし」 
 そう呼ばれる様な輩はというのだ。
「平和だしな、何処行っても落ち着いて勉強出来るし」
「いい場所だろ」
「そうでしょ」
「ああ、それに食べものも産地直送だし」
 地元のというのだ。
「いいな、それに佐賀とか鳥栖それなりに賑やかだし」
「悪くないだろ」
「佐賀県もね」
「観光名所も調べれば結構あるし」
 このこともあってというのだ。
「いいかもな」
「そうだぞ、お父さんはもう満足しているぞ」
「お母さんもね」
 両親は息子に笑顔で話した。
「だからね」
「ここで平和に暮らすのも悪くないだろ」
「そうかもな」
 来て一ヶ月半程でそう思いはじめていた、そしてだった。
 一家で佐賀県で暮らしていった、やがて介人は大学受験の時を迎えたが東京の大学には行かず地元の国立大学に進んで言った。
「ここでいいよ」
「そうか、じゃあな」
「お父さんも暫くここにいるし」
「皆でな」
「ここで暮らしていきましょう」
「そうするよ」
 こう言って大学時代も佐賀県で過ごした、就職は福岡だったがそのままずっと佐賀県にいた両親の実家に戻ることが多かった。そしてだった。
 彼は佐賀県を愛する様になった、もう東京に戻るとは言わなかった。結婚してからも福岡から佐賀によく帰りこの地を愛し続けた。


田舎も住めば都   完


                    2024・1・23
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