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残ったカードが最強だった
第一章

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                残ったカードが最強だった
 小学五年生の森勇三郎はこの時絶望していた、何とカードゲームでこれはというカードが見当たらなかったのだ。スポーツ刈りで元気のよさそうな顔立ちで黒いセーターと青いジーンズの恰好である。背は一五六位でまだ成長途上だ。
「まずいな」
「おい、逃げるなよ」
「勝負は最後までやれよ」
「ちゃんとやれよ」
 相手をしている友人達からはガードゲームの店の中でこぞって言われた。
「それがルールだろ」
「ルールはちゃんと守れよ」
「そうしろよ」
「わかってるよ、しかしな」
 友人達を見て言った。
「お前等強いな、こっちはもういいカードないぞ」
「まあそれはな」
「お前が今回運悪いだけだろ」
「カードゲームってこうした時あるだろ」
「勝てない時がな」
「それでも何でそんなに強いんだよ」
 眉を顰めさせて言うのだった。
「お前等な、負けかこれは」
「別に負けても何も賭けてないからいいだろ」
「このお店そういうのは厳しいからな」
「だからいいだろ」
「負けてもそれで終わりだからな」
「それでも負けたら悔しいだろ」
 森はこう返した。
「だからな」
「負けなくないか」
「お前本当に負けず嫌いだな」
「それなら余計に逃げるなよ」
「逃げたら負けだぞ」
「ああ、やるよ」 
 そう言われると彼もやるしかなかった、それで最後まであがこうと決めた。そのうえで勝負にかかったが。
 勝負をしてみるとだった。
 何と手元にある駄目だと思ったカード達を工夫して使ってみると。
「あれっ、これは」
「おい、お前強いぞ」
「何だよこれ」
「お前だけ勝ってるだろうが」
「滅茶苦茶強いぞ」
「いや、これがな」 
 森自身驚いて言った。
「やってみるとな」
「強いのかよ」
「そうなんだな」
「これが」
「使えないカードばかりと思っていたら」
 これがというのだ。
「実はな」
「違っていてか」
「使い方次第で強いか」
「そうなんだな」
「そうなんだよ」 
 友人達に話した。
「これがな」
「ったくよ、今お前の一人勝ちだぞ」
「さっきまでの負けるってのは何処行ったんだよ」
「これは俺達の負けだな」
「そうだな」
 友人達も諦めた、そしてだった。
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