暁 〜小説投稿サイト〜
動体視力も衰える
第二章

[8]前話
「そうだな」
「それで三振が少なかったな」
「打率もよくてな」
「守備もそうだったな」
「調子のいい時はボールが止まって見えたんだ」
 そうだったというのだ。
「それ位だったんだ、けれどシーズンの終盤からな」
「その目がか」
「ああ、もうボールが止まって見えることなんてな」
「なくなっていたんだな」
「段々普通の速さになってきていたんだ」
「打つ時も守る時もか」
「それで何とか身体で打って守っていたんだ」 
 シーズン終盤はというのだ。
「けれどその身体もな」
「衰えていってるな」
「そうだったしな、目がな」
 まさにこの部分がというのだ。
「衰えてきたのをな」
「感じてか」
「引退したんだ、動体視力もな」
「歳と共に衰えるか」
「そのことを実感してな」
 それでというのだ。
「引退を決めたんだ」
「そうなんだな」
「ああ、限界だってわかったんだ」
「自分でか」
「そういうことだよ、来年やっても」
「成績は落ちていたか」
「本当に動体視力がかなり落ちていて」
 年齢によってというのだ。
「そこから身体もだったからな」
「引退決めたか」
「ああ」
 そうだというのだ。
「そうしてなんだ」
「そういうことか」
「そうだよ、目のことだよ」
 その目を意識しつつ話した。
「視力とかはそのままだよ、けれどな」
「動体視力か」
「それだよ」
「よくわかったよ、引退したのはそういうことか」
「ああ、わかってくれたか」
「よくな」
 こう堂島に答えた。
「わかったよ、じゃあこれからはうちの社員としてか」
「宜しくな」
「こっちこそな」
 笑顔で応えてだった。
 そしてこの日は同期同志で飲んだ、ナッツ類と一緒に飲むカクテルは同期同志の話でも盛り上がり実に美味かった。
 堂島は引退してからは数年社員として働いた、そしてだった。 
 コーチとしてリーグに戻ると今度はその経験を活かして指導者として活躍した。動体視力が衰えて現役を引退したが今度はそちらで活躍したのだった。だが選手達に動体視力は大事だがやがて衰えることを言う時¥はいつも苦い顔であった。


動体視力も衰える   完


                2024・1・16
[8]前話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ