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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第187話:愛の胎動
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 颯人の緊急帰還の報告は発令所にも知らされていた。彼のバイタルに明らかな異常が検知され、その事にオペレーターのあおいが焦りの声を上げた直後には彼はウィズにより連れ戻されていた。

「颯人君、ウィズさんにより医務室に連れていかれたそうです!」
「一体何があった!?」
「詳細はまだ……ただ、奏ちゃんの様子からもかなり急を要する状態だそうで……」

 あおいからの報告に弦十郎が険しい顔になる。颯人の存在は奏にとっての精神的支柱だからだ。彼の存在が奏の強さの源であると同時にアキレス腱でもある。過去、彼の事を想うあまりに奏が離反した事を忘れてはいない。
 ウィズとアルドが居れば何とかなると信じているが、弦十郎は何とも言い難い胸騒ぎの様な物を感じずにはいられなかった。

「……藤尭、医務室に通信を――」

 この不安を解消しようと、医務室に居るウィズ達に連絡を取ろうとした。その時、本部全体が揺れる程の振動が彼らを襲った。鍛えている弦十郎は勿論、オペレーター席に座るあおいや朔也達が座席から振り落とされて床や機材に叩き付けられるほどではないが、しかし予期せぬ大きな振動は発令所の者達の動揺を誘った。

「ッ!? 何事だッ!?」
「ほ、本部上部に損傷ッ! 何かが本部に直撃した、ッ!? 違う、何かが本部内に侵入したようですッ!」
「何かとは何だッ!」
「映像、映しますッ!」

 朔也からの報告に弦十郎が動揺を抑えながら正確な情報を求めると、あおいが監視カメラの映像をモニターに映した。
 するとそこには、恐らく本部の外壁をぶち抜いた時に発生したのだろう煙に紛れて本部内の通路を悠然と進む異形、レギオンファントムの姿があった。本部に侵入したレギオンファントムは、何かを探す様に周囲を見渡し手近な部屋の扉を破壊しながら本部内を好き放題に闊歩していた。

 その光景に朔也達オペレーターは言葉を失い、弦十郎は目を見開いた。

「な、奴はッ!?」
「ファントムの破壊活動により、本部内の損害が増大していますッ!」
「このままでは本部機能にも甚大な被害がッ!」
「直ぐに医務室に連絡を取れッ!」

 報告からレギオンファントムが颯人や透、クリスなどに対して強い関心を寄せている事は知っていた。であるとすれば、奴が態々本部に乗り込んでくる理由など一つしかない。

「医務室に通信、繋がりましたッ!」
「ウィズ、アルドッ! 今例のファントムが本部に侵入した! そっちに向かっているぞッ!」




***




 レギオンファントムが本部に侵入した際の衝撃は医務室にも届いていた。戦場から離れている筈の本部が突然大きく揺れたのはウィズ改め輝彦達にとっても予想外だったのか、立っている者は誰もが衝撃に体勢を崩され、近くの物に掴まったり
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