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第五十話 死守その二十

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「あの時お兄ちゃんに殺されなかったから」
「今こうしてだな」
「生きていられてね」
 そうしてというのだ。
「こうして一緒にいられるから」
「だからか」
「最後の闘いも」
 それもというのだ。
「見守らせて」
「いいんだな、どちらか若しくは両方が死ぬかも知れない」
 封真は小鳥に真剣な顔を向けて問うた。
「そうなっても」
「うん、いいよ」
 小鳥は毅然とした声で答えた。
「私もね」
「死んでも見届けるか」
「覚悟しているから」 
 やはり毅然とした声であった。
「けれど信じているから」
「俺たちが死なないということをか」
「覚悟しているけれど」
 それでもというのだ。
「死なないってね」
「信じているか」
「それでまた三人一緒になるって」
「戦いの後でか」
「だからね」 
 それでというのだ。
「私二人の闘いを最後まで観させてもらうわ」
「そしてまたか」
「一緒に暮らそう、三人で」
「わかった、じゃあ観ていてくれ」
 封真も毅然として答えた。
「これからの闘いをな」
「うん、最後のね」
「観ていてくれ」
「そうするから」
「では今夜だ」
「また会いましょう」
「そうしよう」
 こう小鳥に告げた、そしてだった。
 神威もだ。小鳥に顔を向けて彼女に告げた。
「では今夜でだ」
「最後になるね」
「色々あった、だがな」
「その戦いもね」
「終わる、そして姫様もな」
「お助けするわね」
「そうする、そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「幸せになるぞ」
「戦いが終わったら」
「仲良くな」
「そうだな、戦いが終わったらな」
 封真も微笑んで応えた。
「もう敵味方じゃない」
「天の龍も地の龍もな」
「そしてあの人もな」
「ああ、助けないとな」
「必ずな」
「その為にもだ」
「今夜また会おう」
 こう話してだった。
 神威と小鳥、封真は今は別れた。そのうえで夜に向けて英気を養った。戦いは最後の一幕が開こうとしていた。


第五十話   完


                  2023・11・1
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