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第四十九話 合鏡その十

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 北都達は今は見守ることにした、手を打ってそうしてだった。
 三人は深い眠りに入った、だが朝に。
 牙暁は目覚める寸前で眠りが浅くなった封真にだ、こう言った。
「いいかな」
「どうしたんだ」
「次は君と嵐さんの戦いになるけれど」
「そうらしいな」 
 封真もそれはと答えた。
「次は」
「君は嵐さんを殺すつもりかな」
「そんな筈がない」
 強い声でだ、封真は答えた。
「俺は誰も殺したくない」
「戦いに勝っても」
「小鳥も神威もでだ」
 そしてというのだ。
「他の誰もな」
「だからだね」
「殺さない」
 絶対にというのだった。
「天の龍もな」
「そうするね」
「今更だが」
 封真は牙暁に言った。
「そんな話は」
「いや、聞いておきたかったんだ」
「このことをか」
「うん、それならいいよ」
「そうだな、ではな」
「これからだね」
「今日だ」
 まさにというのだ。
「行って来る」
「ではね」
「そしてだ」
「次は」
「神威と戦うな」 
 遠くを見る目になってだ、封真は話した。
「そうする」
「うん、次はね」
「それで終わるか、それが終われば」
「戦う前の暮らしにだね」
「戻れる、戦いはだ」
 どうしてもというのだ。
「やっぱりな」
「好きになれないね」
「俺はな」
「君はそうした人だね」
「小鳥を殺そうとした時だが」
 封真はこの時のことも話した。
「何かが俺に来た」
「そしてその何かを」
「俺は退けた」
 そうしたというのだ。
「あれがよかったのか」
「若しそれが出来なかったら」
 牙暁は正直に答えた。
「君は妹さんを殺して」
「それからもだな」
「多くの人をね」
「そうなっていたか」
「そして彼さえも」
「神威もか」
「そうしていたかも知れないよ」
 このことを話したのだった。
「本当にね」
「そうだったか」
「けれどね」
「俺は退けた」
「君のままだから」 
 それ故にというのだ。
「妹さんを殺さず」
「これまで誰もだな」
「殺さないでいられているよ」
「あの時が分かれ目だったんだな」
「大きなね」
 まさにというのだ。
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