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水虫を甘く見るな
第二章

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「あの人も水虫でな」
「それで足を切りそうになったってか」
「結局切らなかったらしいけれどな」
「そこまで酷くなるんだな」
「ああ、そう思うとな」
「水虫も怖いな」
「そうだよな」
 こう言うのだった。
「本当にな」
「そうだな、じゃあ俺達もな」
「今は流石にそこまではな」
「食うもん食ってるしな」
「ならないけれどな」 
 それでもというのだ。
「水虫もな」
「怖いってことだな」
「そのことは覚えておかないとな」
「そうだな、痒いだけじゃないな」
「悪くなると洒落にならないな」
「そう思うとインキンもか」
 こちらの病気もというのだ。
「どうもな」
「あっちも怖そうだな」
「そうだよな、どんな病気もな」
「馬鹿に出来ないな」
「そうだよな」
 こう二人で話した、そしてだった。
 衣笠は自分の足を見て赤松に話した。
「毎日ちゃんとな」
「薬塗るか」
「それで治らなくてもな」
「この仕事だとな」 
 自衛官だと、というのだ。
「なること多いしな」
「それで治りにくい病気で」
「しかも毎日革靴履くからな」
 だからだというのだ。
「本当にな」
「付きものの仕事だよ」
 水虫はとだ、赤松に話した。
「本当にな」
「ああ、けれどな」
「治らなくてもな」
「ましになる様にな」 
 その様にというのだ。
「していかないとな」
「そうだよな、痒いしな」
 水虫はとだ、赤松も応えて言った。
「悪化しないに越したことはないな」
「全くだよ、しかし手塚さん足を切らなくてよかったな」
「そうせずに済んでな」
「何よりだったな」
「全くだな」 
 こうした話もした、そうしてだった。
 衣笠は赤松にあらためて話した。
「じゃあまた読むか」
「ブラックジャックか」
「今からな」
「じゃあ俺も読むか」 
 こう言ってだった。
 二人でブラックジャックを読んだ、そして楽しみかつ学んだのだった。それは彼等にとって非常に大きなものとなっていくのだった。


水虫を甘く見るな   完


                     2023・12・26
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