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小説を書く彼女
第二章

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 上杉がデートの合間に滝川が店のドリンクバーで二人の飲みものを取って戻ってくるまでの間にスマートフォンでとある小説投稿サイトの小説を読んでだった。
 その評価に笑顔になって感想に返信しているのを見た、そして彼が見ているのを。
 上杉は気付いてだ、顔を真っ赤にして言った。
「見てたの?」
「嘘を言わないってなると」
 それならという返事だった。
「見てたよ」
「あの、これはね」
「そんなの誰でも書いてない?」
 自分の席、上杉の向かい側のそこに座りつつ言った。
「それこそ」
「そう?」
「僕もピクシヴでイラスト描いてるし」
「同じなの」
「そうだよ、犯罪を煽る様な小説じゃないと」 
 さもないと、というのだ。
「いいと思うけれど」
「そうなの」
「何でもないよ」
 またこう言うのだった。
「別にね」
「何でもないの」
「だから僕も同じだし」
「ピクシヴで絵を描いてるから」
「だからね」 
 そうしているからだというのだ。
「本当にね」
「同じなのね」
「そうだよ」
「じゃあ誰にも言わないのね」
「僕も言ってないし」
 ピクシヴで描いていることはというのだ。
「同じだし特にね」
「言わないのね」
「うん、言われたら嫌かな」
「だから見られて戸惑ったし」
「じゃあ言わないよ、お互いそういうことで」
 そのうえでというのだ。
「やっていこう」
「それじゃあね」
 上杉もそれならと頷いた、そうしてだった。
 二人はそのまま文字通り何もなかった状況でデートをしていった、そしてその後お互いの小説とイラストを観合ってだった。
 お互いに感想を言った、その感想はというと。
「続き読みたいよ」
「新作期待しているわね」
 笑顔でのものだった、二人はただの交際相手からそうした趣味を認め合う間柄にもなった、そうして交際していったのだった。


小説を書く彼女   完


                 2023・12・19
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