暁 〜小説投稿サイト〜
色々と間違ってる異世界サムライ
第8話:強者の矜持
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セツナperspective

マリアンヌの案内で屋敷の外へと出た私達は、ウララを同行者に気ままに散策をする……
なのだが……
ツキツバはずーーーーーと難しい顔をしているし、ノノに至っては緊張し過ぎて何を言っているのか解らない……
「あそこは偉大なる種族が作った建築物の名残ですわ」
町中に突如と現れる崩れた石の壁。
壁には顔が刻まれていて、大きく開いた口からマリアンヌが笑顔で手を振る。

しかし、護衛がウララだけなんて不用心ではないだろうか?
彼女は領主の娘だぞ。
私の抱いた疑問にウララが答える。
「マリアンヌ様は民に愛された御方です。害を加えようなんて不埒な考えの輩は、すぐに周囲の人々によって取り押さえられるでしょう。何よりあの方には私が付いております」
「ずいぶんと自信があるんだな」
「これでもかつてはSランク冒険者でしたので」
……何!?
私がウララの正体について首を傾げていると、さっきまでつまらなそうな顔をしていたツキツバが、街の中心部に立つ男性を模した石像に興味を示した。
「あれはこの街の領主であるお父様の若かりし頃のお姿でございますわ。お父様は恥ずかしがっておりますが、とても素敵なシンボルだとわたくしは自慢に思っておりますの」
だが、そんなマリアンヌの自慢話は突然の地震によって阻まれた……
……いや……これは地震じゃない!
ツキツバも何かを察して何時でも剣を抜ける体勢に入った!
「……来る」
ツキツバの小さな声に呼応するかの様に、轟音と共に石像が粉砕される。
「ぐおぉーーーーー!」
奇妙なうなり声と共に無数の触手が、もうもうと漂う砂煙の中から人々へと伸びた。
「きゃぁぁあ!?」
その1つがマリアンヌを絡め取ると、一気に煙の中へと引きずり込む。
「お嬢様!!」
どうやら敵は地下から侵入を果たし、手当たり次第に人を攫ったらしい。
ツキツバもそれを察したのか、既に砂煙の中へと突っ込んで往った。
その判断は悪くない!すぐに追いかければマリアンヌを無事に取り戻せるに違いない!
「私も行くぞ!」
だが、先走ったツキツバを見て戸惑うウララ。
「しかし、お客人にその様な事を―――」
「捜索するなら少しでも人手が多い方が良いだろ。それに俺達の実力はもう知ってるはず。遠慮なんてしてる場合か!?」
「その通りです!マリアンヌさんや他の人達を4人で救出に行きましょう!」
……ん?
元Sランク冒険家であるウララの実力は気になるが、まさか、ノノまで付いて往く気か?
私とノノの申し出にウララは頷く事で応える。
よーし!助けると決まったなら早い方が良い!
先行したツキツバが敗けるとは思えないが、やはり助け舟は多いに越した事は無い!
そして、3人揃って石像のあった場所に出来た大きな穴へと飛び込んだ。
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