暁 〜小説投稿サイト〜
狂乱の宴
第二章

[8]前話 [2]次話
「だからな」
「それ故にですね」
「人間達には偏見だと言えますね」
「我々の宴に対して」
「左様ですね」
「メフィストフェレスの宴なぞだ」 
 魔界の名士の中の名士である彼が開くそれはというと。
「畏まったものだな」
「参加者はテーブルに座り」
「コースを一品一品召し上がり」
「席に座したまま歌劇や舞踏を楽しむ」
「そういったものですね」
「そうだ、魔界には魔界の秩序とマナーがあるのだ」
 人間達がどう思っていてもというのだ。
「それがわかっていない人間もいるな」
「全ての人間がそうではないですが」
「昔ながらの事実誤認を続けている輩もいますね」
「残念なことに」
「そんな混沌とした乱痴気騒ぎばかりならだ」
 宴がそんなものばかりならというのだ。
「私も今ここまで悩まない」
「左様ですね」
「全く以て」
「どういった宴にされるか」
「悩まれることはないですね」
「そうだ、それでどういった宴にするか」 
 グラシャラボラスは腕を組み述べた、自身の部屋で席に座し共に席に着いている家臣達に言うのだった。
「それが問題だが」
「公の格式ある宴ですし」
「品のあるものにせねばならないですね」
「この度は」
「そういえば前は満漢全席を出してだ」
 そしてとだ、グラシャラボラスは述べた。
「中国の皇帝が観た舞踏を催したな」
「京劇を開き」
「そうされましたね」
「確かに」
「その前は日本風でな」 
 この国の様式でというのだ。
「刺身や天麩羅を出したな」
「そうでしたね」
「そして日舞に能でした」
「そうしたものを開き」
「日本酒を出しました」
「そうしてきた、あちらの神々からも話を聞いてな」
 そうしてというのだ。
「そうしたが」
「今回はどうするか」
「どういった宴にするか」
「それが問題ですね」
「その通りだ、何かと意見を聞かせてくれ」 
 魔王は自分の家臣達にこう言った、そしてだった。
 家臣達もそれぞれ自分の意見を言っていった、会議はああでもないこうでもないといったものになったが。
 家臣の一人の案にだ、魔王は顔を向けて言った。
「それがいいか」
「この度は」
「古典的な宴だが」
 それでもというのだ。
「私はずっとだ」
「開かれていなかったですね」
「その宴はな」
 考える顔で応えた。
「そうだった」
「それでは」
「それでいくか」
 ロココ様式の宮殿の中で述べた。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ