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格闘植木
第一章

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                格闘植木
「変わったのですか」
「そうです」
 庭師の来須徹大柄で筋肉質でその上を脂肪が力士のそれに様に覆った黒く短い髪に丸い目と顔を持つ彼に上品そうな着物の貴婦人が言った。
「主人の気が」
「それで、ですか」
「他の木はそのままでいいですが」
「いつも通りの切り方で、ですね」
「はい、ですが」
 いつもや指揮の庭を手入れしている来須に話した。
「その場所だけは」
「面白くですか」
「して欲しいと」
 こう言うのだった。
「主人が言っていまして」
「いつもの調和のある自然な感じの」
「そうしたものではなくて」
「面白くですか」
「ユーモアというか冗談というか」
「笑えるものですね」
「それをです」
「あそこにはですね」
 屋敷の奥方の見ている方を自分も見て問う様にして言った。
「そうしたものを出して」
「切ってくれますか」
「わかりました」
 それならとだ、来須は奥方に答えた。
「やらせてもらいます」
「主人が言うには面白ければです」 
「いいですか」
「はい、それでどんなものでもその分のお金は払って」
 仕事のそれはというのだ。
「どんなものでも何も言わないと」
「怒ったりはですか」
「しないとです」
 その様にというのだ。
「言っていますので」
「ご主人は」
「安心してです」
「どんな風に切ってもいいですね」
「面白い、ユーモアや冗談があれば」 
 それならというのだ。
「そう言っています」
「それなら」 
 来須もこう応えてだった。
 実際にその木を切ることにした、そしてアルバイトの高校生である皇流瞬スポーツ刈りで一七五位の背で日に焼けた細面で小さな目と逞しい身体を持つ彼に言った。
「今から奥さんが言ったな」
「その木をですね」
「切るからな」
「わかりました、じゃあ俺はこれまで通りですね」
「ああ、切った後の枝や葉をな」
「掃除してですね」
「俺がくれっていったの渡してくれ」
 こう言うのだった。
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