第四話 吸血鬼の話その七
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すぐにだ。彼を右の前足で指し示し言った。
「それが天使の言葉か?」
「はい、そうですよ」
「何処がそうなんだよ」
「どうせ私は天界を追い出されましたから」
表情は変わらないが黒さは増していた。
「それでもいいではないですか」
「そんなのだから天界を追い出されたんじゃないのか?」
「何分融通の利かない世界でしたから」
「だから御前が悪かったんじゃないのか?」
「さて、どうでしょうか」
「しかしだ」
ここでだ。一条がだ。
にゃてんしのその話を聞いたうえで述べた。
「それも一理ある」
「僕の言葉にですね」
「そうだ。実際に人間というものはな」
「奇麗ごとが好きにしても」
「善ばかりではないからな」
これまでの戦いからの言葉だった。これも。
「悪もある。そうしたものも含めて全てが人間だ」
「全てがですか」
「人間と言っても完全に純粋でもない」
一条はやや首を捻りながら話す。
「悪の部分もある。だがそれに絶望したり諦めることがだ」
「スサノオの思う壺なんだよ」
五代もこのことについて話す。
「スサノオはそうしたところも見ているからね」
「非常に複雑なのですね」
茶々丸はそうしたことを聞いて述べた。
「スサノオという人のやることや考えていることは」
「うん、何重にも罠を仕掛けているから」
五代はにゃんぱいあ達にこうも話す。
「それを乗り越えていくことが大事なんだ」
「では僕は乗り越えられたのでしょうか」
その五代の考えを聞きながら。吸血鬼もだ。
考える顔になりだ。彼に問うた。
「スサノオのその罠を」
「それは彼に会ってからはっきりする」
一条はここでは即答しなかった。それをあえて避けたのだ。
そしてだ。そうした話をしているうちにだ。
その会場が行われている大広間の扉の前に来た。そこを開けると。
立食のパーティーが開かれていた。誰もがだ。
吸血鬼と同じ格好をしていた。男も女もだ。ズボンをはいていた。
それを見てだ。にゃんぱいあが首を捻って言った。
「あれっ、女の人もズボンにゃ」
「吸血鬼の正装だからね」
それでだとだ。その吸血鬼がにゃんぱいあに答えた。誰もがテーブルを囲んでその上にある馳走や酒を飲んでいる。赤い食べものが多い。
その中でもだ。とりわけだ。
酒はだ。紅いものばかりだった。ワインが多い。
そのワインをもの欲しそうに見ながらだ。吸血鬼は五代達に話す。
「ここです」
「ここが会場ですね」
「吸血鬼達のパーティーの」
「はい、そうです」
まさにそうだとだ。吸血鬼も答える。
「ここがです」
「さて、それではですね」
「このパーティーの主賓を探すか」
二人はこう言い合ってだった。そうしてだ。
中を見回す。
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