第二章
[8]前話
「そう言うとな」
「だから今言った通りね」
「縁か」
「そうよ、それでお昼食べたらどうするの?」
「コンビニ行くよ、サンデー買いにな」
「私はマガジンよ」
「それでもサンデーも好きだよな」
「そう言うあんたもマガジン好きでしょ」
「じゃあ後で交換しような」
「お互い読み終わったらね」
こうした話をしつつ一緒に食べた、そしてコンビニでそれぞれ本を買って読んで交換した。仕事も一緒にした。
そうした日々を過ごしているうちにだ、二人は。
マンションを引っ越すと何と。
「隣同士かよ」
「住んでるところもそうなったわね」
「全く。ここでも縁があるな」
「腐れ縁かしらね」
「腐れ縁でも縁だな」
川口は一緒に引っ越し祝いをする順子に自分の部屋の中で引っ越し祝いをしつつ話した、二人は同時に同じマンションにお互い知らないうちに引っ越したのだ。
「これも」
「そうよね」
順子も否定しなかった。
「本当に」
「そうだな、けれどお隣同士になったから」
「揉めない様にしましょう」
「俺達揉めることはないしな」
「そうしていきましょう」
ビールやオードブルを前にしながら話した、そして五十年後。
老人になった川口は順子にしみじみとして言った。
「マンションで隣同士になったのが決定打だったな」
「そうね」
やはり老人になっている順子が応えた、二人共顔には皺が多く髪の毛は真っ白になってしまっている。
「あれからね」
「前から腐れ縁でな」
「いつも一緒だったけれど」
「あの時からさらに一緒にいる様になってな」
「プライベートでもね」
「気付いたら結婚していたな」
「そうね、それで結婚してもいつも一緒で」
それでというのだった。
「気付いたらあと少ししたら」
「結婚して五十年だな」
「金婚式ね」
「子供達も孫達も言ってるしな」
「それじゃあね」
「やるか」
「ええ、ただ金婚式やるよりも」
妻は笑って話した。
「私達はずっと一緒にいるわね」
「結婚するよりな」
「それこそ子供の頃から」
「そうだな、そうした縁だな」
「そうね、じゃあこれからもね」
まさにというのだった。
「一緒にいましょう」
「そうしような」
笑顔で話した、そしてだった。
二人は周りから金婚式を行ってもらった、二人は式の間満面の笑みだった、そしてかつてはぼやく感じだった立ち食いの店のやり取りも今は笑って振り返れた。それは他の全ての一緒にいた時のことも同じだった。
いつも出会うから 完
2023・11・20
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