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鋼殻のレギオス 三人目の赤ん坊になりま……ゑ?
第零章 メイファー・シュタット事件
プロローグ
三人目の赤ん坊
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経験でカバーしている。
 デルクは左側のかぎ爪を全て切り落とした。左側に武器がなくなったせいか、老生体はデルクが左側に回り込もうとすると右手に持った剣で振り払おうとする。デルクは冷静に刀で受け流しながら、仕込みを続ける。
 デルクの行動にイライラしていたのか、老生体は大振りの剣戟を繰り出す。そしてそれと同時に今まで守りの姿勢に入っていたデルクが一気に前に出た。老生体はまた笑った、勝ちを確信して……だが、剣と刀がぶつかりあった瞬間、剣が粉々に砕けた。
 外力系衝剄の変化、蝕壊。
 武器を破壊する剄技だ。何度もぶつけていたのは少量の剄を流し込みながら確実に壊せる硬度まで待っていたからである。
「かぁっ!!」
 内力系活剄の変化、戦声。
 大気を振動させ、破片を全て老生体にぶつける。しかし甲殻に覆われた老生体には効果は薄かったが目くらましにはなった。一瞬の隙をついてデルクは背後に周りながら、腰に刀を添え、右手は根元から握りしめていた。その手には右、左、別々の剄が収束していた。
 老生体はかぎ爪でデルクを迎撃しようとしたが、デルクの剄技の方が一歩早かった。
 サイハーデン刀争術、焔切り。
その名の通り、赤く染まった刀身はまるで焔のように煌めき、かぎ爪ごと老生体の体を切り上げる。
 全身にヒビが入るがあまりの硬さに、デルクの刀が途中で止まる。老生体は首だけ振り向きながら笑おうとしたが、デルクの手を見てそれを止めた。
「……終わりにしよう」
 その言葉とともに上に斬った刀を炎とともに軌道を変更する。上から下へ、つまりは一度ダメなら二度というやつだ。
 サイハーデン刀争術、焔重ね。
 甲殻とその下の肉と心臓を断ち切られた。しかしデルクはそれだけではこの汚染獣が死なないことは知っている。追撃のため、刀を頭部に向けた、その時だ。
「GYAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!」
「なにっ!?」
 老生体は強烈な咆哮を上げたのだ。あまりの衝撃にデルクの身体が硬直する
 そして、自分の甲殻に突き刺さっていた剣の残骸を掴み、投げようとする。デルクは老生体の行動を阻止するために突きを繰り出した。
 サイハーデン刀争術、波紋抜き。
 放たれた突きが老生体の口に到達し、その頭部をズタズタに破壊したのと同時に残骸は恐るべきスピードで赤ん坊の元に投げられた。
「逃げろっ!!!」
 普段、叫ばない寡黙なデルクの叫び声は離れていた未成年武芸者の耳に聞こえていた。そして自分の手の中にいる赤ん坊に向かって何かが飛んできていると悟った時には全てが遅かった。
 小さな破片を迎撃するのは熟練の武芸者でも難しく、衝剄で迎撃しようとするが味方ごと吹き飛ばす可能性があるので出来なかった。もちろん未成年武芸者では対応しきれないだろう、誰もが最悪の結果を想像
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