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それは双六だ
第五章

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「これは」
「そうよね」
「もうそう言うしかない」
 人生ゲームはというのだ。
「やってみたらな」
「あの子達はどう言っても」
「ああ、しかしな」
 夫は腕を組んだままあらためて言った。
「やってみたら面白いな」
「かなりね」
「一回やったがな」
 それでもというのだ。
「もっとな」
「やってみたいわね」
「これはいい」
 妻にさらに言った。
「頭の体操にもなるぞ」
「暇潰しにもなって」
「そうだな、じゃあまたやるか」
「そうしましょう」
 妻もそれならと応えた。
「ここはね」
「そうだな、今度はどの仕事をやる」
「私は看護婦さんにするわ」 
 沙幸はこの仕事を選んだ。
「今度は」
「じゃあわしはお巡りさんだ」
「それになるの」
「子供のころなりたいと思っていたんだ」
 そうだったというのだ。
「だからな」
「今度はそれね」
「子供の頃なりたかった仕事になれるならな」
 それならとだ、妻に笑って話した。
「いいだろ」
「そうね、それならそれでね」
「だったらな」
「今回はお巡りさんね」
「それになるな」
「じゃあまたね」
「やるか」
「そうしましょう」
 老夫婦は微笑んで会話を行った、そうしてだった。
 実際にもう一回やってみた、孫達が家に帰るとすぐに返した。しかしこの日から毎日一度はだった。
 夫婦で遊んだ、それは休日もで。
「お祖父ちゃんだけじゃなくて」
「お祖母ちゃんもやるなんてね」
「人生ゲーム面白いから」
「それでだね」
「そうだ、これはいいな」
 祖父は孫達に笑顔で応えた。
「遊びがいがあるな」
「幾らやっても飽きないわ」
 祖母も笑顔で言った。
「これはいいわ」
「全くだな、じゃあな」
「またやりましょう」
「そうしましょう」
 夫婦で話す、そんな二人を見て孫達は言った。
「人生ゲームわかったよね」
「双六じゃないよ」
「人生ゲームは人生ゲームよ」
「そこはわかってね」
「そうだな、そう思うならな」
 祖父は孫達に余裕のある顔で言葉を返した。
「そうなるな」
「そうだよ」
「そこはわかってね」
「大事な違いよ」
「全く違うから」
「そう思うならそうだな」 
 祖父の返事は変わらない、それでやっていったが。
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