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やっぱりそうなった
第二章

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「随分前からあの商店街でやってるらしいけれどな」
「ずっとああですか」
「あのおばさんが若い頃からな」
「あんな態度ですか」
「今どの商店街も大変でな」
 閉店が多くなり傾いているというのだ。
「それであの商店街だってな」
「大変ですね、結構」
「そんな状況だからな」
「あの古本屋もですか」
「あんなのだとな」
「潰れますか」
「そうなるな、というか今もってるだけでな」
 先生は笑って話した。
「奇跡だよ」
「そうですか」
「ああ、もうな」
 それこそというのだ。
「だからな」
「それで、ですか」
「潰れるさ、むしろ潰れなかったら」 
 その方がというのだ。
「おかしいさ」
「潰れますか」
「絶対にな、じゃあ今からハードルやるからな」 
 それの練習をとだ、それで実際にハードルを用意してだった。
 与田は他の部員達と一緒にそちらの練習をした、そうした日々を過ごし高校を卒業して大学に進学したが。
 二十歳になった時に高校の同窓会があったので出たが。
「ああ、あの古本屋潰れたんだな」
「そうなったよ、去年な」
「遂にな」
「おばさんの態度が悪過ぎてな」
「不愛想過ぎてな」
「誰も行かなくなってな」
 同級生達が彼に話した。
「そうなったよ」
「もうあそこもシャッター下ろされてるよ」
「それで商店街全体がな」
「シャッター増えたよ」
「そうなったよ」
「そうなんだな、まあな」
 与田はその話を聞いて言った。
「そうなるってな」
「言われてたよな」
「陸上部の岡田さんにも」
「そうな」
「態度が悪くて不愛想でな」
 それでとだ、与田は言った。
「不親切だとな」
「潰れるよな、店も」
「当然の結果だな」
「まあそうなるだろうと思っていたら」
「実際にそうなったな」
 皆で口々に話した、そして後日。
 与田は仕事の関係でその古本屋があった商店街に行ってみた、するとその場所は再開発がはじまっていて。
 多くの店が土地ごと売却され壊されその跡地に幾つもの建物が建てられようとしていた、その中に古本屋があった場所もあったが。
 そこにもビルが建てられようとしていた、与田はそれを見てだった。
 流石にこうなるとは思わなかった、こう思った。だがそれだけであり。
 その場を後にした、それから古本屋の話を聞くことはなかった、時々おばさんのことを思い出して今はどうしているのだろうと思うだけだった。


やっぱりそうなった   完


                   2023・8・16
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