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モブの人生
第一章

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                モブの人生
 青柳茂夫は穏やかな顔に中肉中背、ありふれた黒い髪の毛に地味な髪型を持っている。学校の成績はいつも普通で目立たず生きてきた。
 そんな彼にだ、大学の友人達も言うのだった。
「いい奴と言えばいい奴でも」
「それでもな」
「目立たないよな」
「性格も能力も目立たなくて」
「振る舞いもな」
「何か全部平均って感じで」
「印象薄いな」
 こう言うのだった、兎角だ。
 彼は目立たず街で歩いても特に見られることも意識されることもなかった。それが彼の日常であった。
 そんな彼だから皆が思った。
「別にこれといって波のある人生送らないな」
「あいつの場合はな」
「あれだけ目立たなくて普通なら」
「それならな」
 こう言うのだった、そして茂夫は人生を歩んでいったが。
 三十五になった時にだ、大学時代の同窓会があったのでそれに出席した時にこんなことを言ったのだった。
「いやあ、何かとあるね」
「えっ、お前がか?」
「色々あるのか?」
「そうなのか?」
「あるよ」
 茂夫は自分の言葉に驚く友人達に微笑んで話した。
「病気も怪我もするし」
「ああ、そういったのはな」
「誰でもあるな」
「体調崩さない人もいないし」
「怪我だってするな」
「中学の時車にはねられたし」
 茂夫は自分のこのことを話した。
「高校の時海外旅行でコレラにもかかったり」
「それはまた災難だな」
「コレラってな」
「大変だな」
「大学入試の時は遅刻しそうになったし」
 こうしたこともあったというのだ。
「就職も何社か落ちて今の会社だし」
「そうしたこともあったんだな」
「何もない様で」
「そうなんだな」
「それでお見合いして結婚したら」 
 そうしてというのだ。
「新婚旅行で台風に遭ったし次の年会社が不祥事で大騒ぎになったり」
「結婚して次の年にか」
「大変だったな、それは」
「無茶苦茶だな」
「それでやっと持ち直したと思ったら」
 会社がというのだ。
「子供が生まれたけれど男の子でやんちゃで」
「ああ、男の子は元気だよ」
「女の子よりもな」
「そうらしいな」
「手がかかってそれでいて水疱瘡とかおたふくに次々となって」
 そうしたこともあってというのだ。
「奥さんと二人で手が一杯で子供が大きくなったら」
「まだ何かあるか?」
「そうなのか?」
「親戚の叔父さんが闇金に手を出して借金作って逃げて」
 今度はそれでというのだ。
「親戚の人達と一緒に後始末に追われて」
「おいおい、そんなことがあったのか」
「それも災難だな」
「親戚の人でそんな人がいるとか」
「これまた大変だったな」
「本当にこれまでね」
 茂夫は笑って言った。
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