第二章
[8]前話
そこから赤い髪の毛と赤茶色の肌の少年の髪が出て来てだった、そのうえでコタンカムイに言ってきた。
「はじめまして、僕はアペフチだよ」
「そなたは火のカムイだな」
「うん、貴方が今生み出したね」
コタンカムイ自身に言うのだった。
「そうだよ」
「そうか、やっとだ」
「火が熾ったね」
「そしてそなたが出てくれた、それでだ」
コタンカムイはさらに話した。
「ハルニレを貴ぼう」
「僕達カムイの間でもだね」
「そうだ、火を熾してくれたからな」
人に与えるべきそれをというのだ。
「人間そして私達カムイの暮らしさえ変えて支えてくれるな」
「そうしたものだから」
「これ程有り難いものはないからな」
こう考えるからだというのだ。
「ここはな」
「ハルニエを貴ぶね」
「それもだ」
コタンカムイは笑ってこうも言った。
「最もだ」
「尊いとするんだ」
「火を生み出す元にもなったからな」
それ故にというのだ。
「ここはな」
「そうするんだね、コタンカムイ様じゃなくて」
アペフチは創造のカムイ今の仕事を中心になって行っている彼に尋ねた。
「ハルニレなんだ」
「理由は今言った通りでな」
「そうするんだ」
「うむ、では他のものもな」
「どんどん生み出していくんだね」
「これからもな、やっていくぞ」
「じゃあ僕も及ばずながらね」
「手伝ってくれるか」
「コタンカムイ様の頑張りと自分を一番偉くないと定めた謙虚さに感じ入ったからね」
笑ってコタンカムイに言うのだった。
「だからね」
「そうか、悪いな」
「悪くないよ、僕がそうしたくてするんだから」
これがアベフチの返事だった。
「一緒にやっていこう」
「私も出来ることをしていくわ」
妻のカムイも言ってきた。
「そしてね」
「そのうえでか」
「ええ、世界を創造していきましょう」
「それではな」
コタンカムイはアベフチにも妻にも笑顔で応えた、そうしてだった。
彼は仲間達の協力も得てハルコレを最も尊いものとしたうえで世界を創造していった、これがアイヌの人達に伝わる世界創造神話の一つである、それで今もアイヌの人達の中にはハルコレをとても大事にする人が多いのである。
ハルコレ 完
2023・6・14
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