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サエーナ樹
第二章
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 その状況を見てだ、神は言った。
「ここはよりだ」
「よりといいますと」
「アンラ=マンユは何も出来ない位のだ」
 そこまでのというのだ」
「ことを為し世界に命をもたらしたい」
「あの木の力だけでなく」
「そうだ」
 こう言うのだった。
「それこそアンラ=マンユがこの世に命をもたらさせない様にしてもな」
「それでもですね」
「止められない様にする」
「具体的にはどうされますか」
「サエーナ樹の力を全て雨に含ませるのだ」 
 神は光輝く姿からこの言葉を出した。
「そうする、そうしてだ」
「命の恵みをですか」
「雨を通じてな」
 そうしてというのだ。
「世に広めるのだ」
「そうされますか」
「命の恵みがサエーナ樹のみなら狙われる」
 アンラ=マンユと彼に仕える者達にというのだ。
「だが雨ならどうだ」
「世界の全てに降り注ぐ雨ならば」
「それも急に降ったりするな」
「それならばどうしようもないですね」 
 アムルタートもそれならと答えた。
「それでは」
「すぐにサエーナ樹の力を全て雨に入れる」
「それでサエーナ樹はなくなろうとも」
「その力は常に世界にもたらされる」
 命の恵み、それがというのだ。
 そしてすぐにだった、アフラ=マツダはサエーナ樹の力を全て雨に入れた。それでサエーナ樹はなくなったが。
 命の恵みは雨を通じて世界に常にもたらされる様になった、このことにアンラ=マンユは歯噛みするしかなかった。
 そのことを見てだ、スィームルグとチャムローシュ今は常に世界を飛び回り雨即ち命の恵みが世界にどう行き渡っているかをその雨を身体に受けつつ自分達も恵みを受けている彼等がアフラ=マツダに話した。
「ただ木があるよりです」
「世界は遥かに命が満ちています」
「そうなっています」
「そしてこれからも」
「そうだな、雨は常に降るものだ」
 神は自分の傍に来て語る鳥達に答えた。
「だからな」
「そこに命の恵みを入れますと」
「世界中に常にですね」
「命がもたらされる、アンラ=マンユもこれではだ」
 世界に命がもたらされることを邪魔しようとしてもというのだ。
「どうにもならない」
「左様ですね」
「その通りですね」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「これからもだ」
「雨にサエーナ樹の力を含ませ」
「世界に降らせますね」
「そうしていく、そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「この世界にだ」
「命をもたらしますね」
「そうしていきますね」
「この世の最後の時までな」
 こう言ってだった。
 アフラ=マツダは世界に雨を降らせた、するとその後で。
 多くの植物それに生きもの達が出た、神はそれを見て微笑んだ。そして今も降らせている。雨はいつも世界に命の恵
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