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頑張るお母さん猫
第二章

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「鶏肉なら余ったのをな」
「そうするんだな」
「あのお母さん猫に」
「そうするんだな」
「コーランにあるからな」
 店員も教えの話をした。
「猫は大事にしろ」
「そうだよな」
「我が国は犬も大事にしてるけれどな」
「犬の唾液は不浄でも」 
 コーランにはこうも書かれている、これは狂犬病を警戒してであることは科学的にはっきりとしている。
「それでもな」
「犬も大事にしていてな」
「保護猫だけじゃなくて保護犬も大勢いる」
「それで当然猫もな」
「大事にするな」
「そうさ、だから今度からは余ったのをやるよ」
 母猫が盗む前にというのだ、店員は笑って話した。
 そして客達のうち何人かは猫についていって見守った、猫は自分にとっては大きくて重い肉を必死に咥えて運んでいってだった。
 そのうえで子猫達がいる保護猫用のハウスまで来た、すると。
「ニャア」
「ウニャア」
「ミャア」
「ウニャン」
「ミャウン」
 母猫が鶏肉を置いて鳴くとハウスから四匹の子猫が出て来た、二匹はこげ茶と白、残る二匹は茶色である。こげ茶はどっちも雄で茶色は両方雌だ。
 猫達は一緒に鶏肉を食べはじめた、そんな猫達を観てだった。
 ついてきた者達は笑顔でだ、こう話した。
「いいな」
「ああ、頑張った介があったな」
「皆幸せに食べてるよ」
「よかったな」
「本当に猫は大事にしないとな」 
 先程店の中で話した老人もいた、白い髭が実にいい。
「アッラーも言われているし」
「そうだよな」
「俺達と同じ命だしな」
「これからもこの子達が幸せに生きられる様にな」
「俺達も頑張ろうな」
「是非な」
 老人は笑顔で言った、そしてだった。
 彼は家に帰るとだ、庭にいた雄の黒猫を抱いて妻にこの話をした。
「いい話だろ」
「そうね、あんたも猫好きだしね」
「子供の頃からな」
「ケマル飼ってね」
 夫と同じくらいの年齢の吐く初の妻は猫の名前を呼んで彼も見た。
「それで保護猫も大事にして」
「同じ命だしな」
「人間と」
「大事にしないとな、お前もそう思うだろ」
「勿論よ、じゃあ晩ご飯はね」
「ケマルと一緒にか」
「食べましょう」
「いいな、そうしような」
 妻に笑顔で応えた、そして家でも猫と一緒にいた。老人は家の外でも仲でも猫と楽しい時間を過ごしたのだった。


頑張るお母さん猫   完


                2023・10・26
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