暁 〜小説投稿サイト〜
ドリトル先生の落語
第九幕その一

[8]前話 [2]次話
                第九幕  寄席を観て
 日笠さんと一緒に春琴さんの寄席を観に行く時にでした。
 動物の皆は先生に物凄く真面目なお顔で言いました。
「二人で行って来てね」
「僕達今日はお家にいるから」
「日笠さんと二人でいてね」
「そうしてね」
「いや、皆はいつも僕と一緒にいてくれるじゃないか」
 先生はそう言う皆に驚いて言いました。
「それでどうしてかな」
「いいから」
「今日は二人でいて」
「くれぐれもね」
「そうしてね」
「棒もそうすべきと思います」
 トミーも皆と同じ意見でした。
「今日は」
「日笠さんと二人なんだ」
「それで寄席に行って来て下さい」
 こう言うのでした。
「いいですね」
「そうしないと駄目かな」
「今日はそうです」 
 まさにという返事でした。
「何があっても」
「そうなんだね」
「だからいいですね」
 くれぐれもという口調で、です。トミーは言うのでした。
「今回は」
「日笠さんと二人でだね」
「寄席に行って来て下さい」
 こう言うのでした。
「いいですね」
「そこまで言うならね」
「それとです」
 トミーは先生にさらに言いました。
「日笠さんのお家までです」
「帰りはだね」
「送ってあげて下さいね」
「紳士でありたいなら当然のことだね」 
 先生はトミーに答えました。
「紳士でありたいと思うなら」
「いや、それはね」
「先生全く違うよ」
「本当にね」
「そこがね」
「駄目なんだよ」
「全く以て」
「そうなんだ、まあ兎に角ね」
 先生はこの時も気付かないまま応えました。
「日笠さんと二人でだね」
「行って来てね」
「じゃあ僕達お家にいるから」
「帰ってきたらお話してね」
「お二人でどうだったかね」
 皆はこう言ってトミーと一緒に先生を送り出しました、そしてです。
 先生は日笠さんと待ち合わせをする場所に行きました、約束の時間より十分前に来ましたがこれも皆に言われてです。
 そして約束の時間になると日笠さんが来ました、日笠さんはうんとお洒落をした格好で来て言いました。
「待ちましたか?」
「いえ、別に」  
 先生は赤いドレス姿の日笠さんに笑顔で答えました。
「これといって」
「そうなのですか」
「はい、ではこれから」
「寄席に行きましょう」
「そうしましょう」
「お笑いの舞台ははじめてですが」 
 ここでもこう言う日笠さんでした。
「楽しみです」
「お笑いがお好きだからですね」
「そうですね」
 ここは少し残念そうに応えた日笠さんでした。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ