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七十過ぎの爺の現実
第四章

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「もうな」
「そうか」
「漫画と違うしな」
「実際は爺さんになるとか」
「身体も壊したりしてな」
 生きている中でというのだ。
「だからな」
「尚更か」
「あるか、若いうちだけだ」
「そうしたことはか」
「わしも若い頃は元気だった」
 若尾は真顔で言った。
「うちのとそれこそな」
「毎日でもだったか」
「ああ、それがな」
 どうにもというのだ。
「今はな」
「そんな風か」
「美沙緒さんや杏奈さんがどれだけ美人でスタイルがよくてもな」
「それで服も刺激的でもか」
「何とも思わないさ、というかな」
「というか?」
「そこまで見るお前さんはな」
 藤田に言うのだった。
「まだ少しな」
「そうした欲があるか」
「そうだな」
「しかしそのわしもな」
 藤田は羊羹を食べながら言った。
「ぴくりともな」
「動かなかったか」
「そうだったし今もな」
「動かないな」
「もう何年もいや十年はな」
「動かないな」
「いるな」
 ここで藤田はこうも言った。
「上原謙さんとかな」
「わし等みたいな歳でか」
「子供作る人もな」
「だから七十過ぎてな」
 それでというのだ。
「身体も壊してな」
「わしはまだ壊してないけれどな」
「それでもぴくりともならな」
「そうだ、わしなんてな」
 身体を壊したことのある自分はというのだ。
「尚更だよ」
「そうか」
「そうだ、変な風に思うなよ」
「それが現実だな」
「そうだ、そんな漫画を読んでもな」
「ビデオでもか」
「昔はそれだけで元気になってな」
 そうしてというのだ。
「うちのと、となったんだがな」
「今はか」
「こんな漫画やビデオあるのかでな」 
 そう思ってというのだ。
「終わりだ」
「そうか」
「ああ、しかしな」
 ここで若尾はこうも言った。
「美沙緒さんも杏奈さんも凄い美人だな」
「スタイルもよくてな」
「そのことは事実だな」
「服もな、あとな」
 こっそりとだ、藤田は若尾に話した。
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