第二章
[8]前話
「体臭がね」
「体臭か」
「そういえば女の子のそれってきついよな」
「更衣室とかトイレの前通っただけで」
「結構くるものがあるよな」
「それがずっときついんだよ」
女性だけの職場ではというのだ。
「うちの学校でもだけれど」
「それだとか」
「あんまり嬉しくないか」
「女の園の中にいても」
「それでもか」
「うん、それにね」
芝原はさらに言った。
「彼女さんいるかってね」
「よく聞かれるか」
「そうか」
「そうなんだな」
「そうだよ、けれどいるって言ったら」
実際彼にはそうした人がいるので言えたことだ。
「凄く残念そうだしね」
「うちもそうだしな」
「俺達全員彼女いるけれどな」
「学校の八割女子で」
「男子はもう奪い合いみたいになって」
「速攻で彼女出来たけれどな」
入学早々だ、生徒の八割が女子なら男子は必然的にそうなる。尚余った女子はどうなるかは彼等は敢えて考えてないことにしている。
「そうなるか」
「女の人ばかりの職場だと」
「そうもなるか」
「それで舌打ちされたり」
彼女がいると言えばというのだ。
「いても浮気どうとか乗り換えないとか誘われたり」
「結構やばいな」
「そこで乗ると下手したら修羅場だしな」
「そうなるからな」
「乗らないことだな」
「そうしたことがあるからね」
だからだとだ、芝原は自分の話をまとめてクラスメイト達に話した。
「確かに和気藹々として奇麗で明るい職場だけれど」
「何かと問題あってか」
「そこに男一人でもか」
「いいことばかりじゃないか」
「ハーレムとかはないからね」
こう言うのだった、そしてだった。
彼はそれからもバイト先のことを時々話した、それは女性独特の匂いがするもので決していいものではなかった。男子のクラスメイト達が聞いてもそうであった。
黒一点の職場で 完
２０２３・９・２０
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