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無能と言われ干されていたのが
第二章
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「どんなお店か」
「じゃあ私も行くよ」
「そうしますか」
「丁度お昼だし今から行こうか」
「そうですね」
 伊藤は本社の人の言葉に頷いてだった。
 そうしてその店に行ってみた、店は百貨店の八階にあったが。
 休日なのに百貨店全体が客が少なく店もだ。
 客がいなかった、そしてステーキの味は。
「これは酷い」
「そうだな」
「安い肉を適当に焼いているだけですよ」
「とてもプロの腕じゃないな」
「ええ、店員の態度も悪くて」
「何か裏から怒鳴り声も聞こえるな」
「これは酷い店ですね」
 伊藤は顔を顰めさせて言った。
「これがグループの直営店ですか」
「そういえばこのグループ今の会長がね」
「ああ、何かリストラのことしか頭になくて」
「グループのもの何でも潰してね」
「それで三重の大赤字のテーマパークばかり大事にして」
「ワンマンで一度決めたことは変えない」
「人の話聞かないで頑迷ですね」
 伊藤はワンマンで一度決めたことは変えないことをこう解釈した。
「経営者に向かないタイプですね」
「しかも秘書、広報、経理やってきて」
「情報もお金の流れも掴んでいてそれを世の中に広めることも出来る」
「そんなのでね」
「それじゃあ誰も逆らえないですね」
「そんなのがトップだから」
「グループ全体がおかしいんですね、そういえば前に大きなスキャンダル起こして」
 伊藤は嫌そうな顔である話を思い出した。
「あの会長さん居直っていましたね」
「グループとして相当恥かいて信頼落とすことだったけれどね」
「平気でしたね」
「恥を恥と思わない人なんだよ」
「そんな人がトップだと」
「最悪なことになるね」
「はい、それでですか」
「もうグループ全体がおかしくてね」
「このお店もこうですね」
「百貨店も閑散としているし」
「こんな場所なら」
 伊藤は心から理解した。
「山本さんもです」
「評価されないね」
「というかどんな人が評価されるのか」
「その会長さんに諂う人だけだろうね」
「そうですね、こんな場所じゃ論外ですよ」
 伊藤はこう言ってだった、食べるのを途中で止めて一緒にそうした本社の人と一緒に店を出て自分達の店に戻った、そしてだった。
 山本にだ、まかないを頼んだが。
「今日も美味しいです」
「どうもです」
 山本は笑顔で応えた、その笑顔も実にいいものだった。そしてこうした人を笑顔で働ける職場で泣ければ駄目だとだ、彼は本社の人と共に思ったのだった。
 尚山本がいた鉄道会社のグループは会長が死んだ後で彼が遺した負の遺産で首が回らなくなった、そしてそれを立て直せる者は誰もいなかった。


無能と言われ干されていたのが   完


                   2023
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