暁 〜小説投稿サイト〜
国旗のピエロ
第四章

[8]前話
「パンにだって使うし」
「そうよね」
「そうもなるから」
 だからだというのだ。
「戦争になったらよ」
「大変よね」
「今がまさにそうだしね」
「そう思うと平和であることは」
「地球がね」
「素晴らしいことね」
「戦争で儲かるとかね」
 こうしたことはというのだ。
「ないから」
「皆苦しむわね」
「いいことなんてないでしょ」
「それこそね」
 ジェーンもそれはと答えた。
「全くよ」
「それでよ」
「平和が一番ね」
「明るく楽しかったら」
 それならというのだ。
「本当にね」
「そういうことね」
「だからあの人の主張はね」
 ピエロをして訴えていることはというのだ。
「正しいわ、地球は一つで」
「明るく楽しく平和が一番」
「そうよ、しかしピエロの素顔なんて聞かないものだけれど」 
 友人はこうも言った、考える顔になって。
「あの人誰かしらね」
「だからそれはね」 
 ジェーンは友人に笑って返した。
「言わないことよ」
「ピエロの素顔は」
「そうよ、絶対にね」
 こう言うのだった、それで二人はピエロの素性については話すことはしないことになった。多くの者もそれをエチケットとしたが。
 カルフォルニア州知事の周りではこんなことを言われていた。
「毎週日曜はか」
「プライベートでか」
「携帯での連絡もメールで」
「日中は自宅にも連絡しないで欲しい」
「一体何処に行かれてるんだ?」
「浮気する様な人じゃないが」
「何かされてるんだろうか」
 知事は日曜の日中連絡が取れないことが言われていた。
「何だろうな」
「ちょっとわからないな」
「ああ、悪いことをする人じゃないが」
「気になるな」
 こうした話が為されていた、だが。
 後日このピエロの横顔がよく見れば知事そっくりだと言われる様になった、語る声も喋り方も。だが素顔はわからなかった。ピエロのそれは言われないのだから。


国旗のピエロ   完


               2023・2・13
[8]前話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ