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大阪の鵺
第五章
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「ここまで酷いと」
「もうね」
「ええい、わしを愚弄するとはいい度胸だ」 
 妖怪は怒ってこうも言った。
「昔御所で歌っていて矢を放ってきた侍と同じか」
「あれっ、この妖怪さんまさか」
 武藤は妖怪の今の言葉から察して英梨に言った。
「鵺かな」
「外見見たらそのままだしね」
 英梨もそれならと頷いた。
「それじゃあね」
「鵺かな」
「そうみたいね」
「御所で弓矢放たれたって」
「源頼光さんのことね」
 二人もこのことはわかった。
「そうよね」
「間違いないね」
「如何にもわしは鵺である」 
 妖怪は二人に前足を組んで言ってきた。
「あの頃は死にそうになったぞ」
「というか言い伝えじゃ死んでたわね」
「そうだったね」
 二人でこのことを話した。
「退治されたって」
「そうなってるけれど」
「射貫かれて倒れて気絶してな」
 鵺はその時の状況を詳しく話した。
「埋葬されたところで我に返って地面を掘り返してな」
「助かったの」
「そうだったんだ」
「全く、埋められているとわかった時は驚いた」
 しみじみとした口調で言うのだった。
「何か出たが。それからもずっと歌っておったが」
「酷い音痴よ」
「元の歌がわからない位ね」
「千年以上それって」
「よっぽど歌の才能ないんだね」
「五月蠅いわ、というかお主達どうして来た」
 鵺は二人にこのことも聞いてきた。
「一体」
「いや、ここからいつも変な鳴き声が聞こえて来たから」
 英梨は鵺にその理由を話した。
「それでなのよ」
「確かめに来たか」
「妖怪だろうと思っていたら」
 武藤も鵺に話した。
「まさか鵺なんてね」
「思いも寄らなかったね」
「こんなメジャーな妖怪なんてね」
「それも御所で音痴さを披露した」
「だから音痴ではない、わしは美空ひばりさんに匹敵するな」
 まだこんなことを言う鵺だった。
「素晴らしい歌手だよ」
「だから美空ひばりさんに謝りなさいよ」
「謝る必要はない」
「海上自衛隊幹部候補生学校で変に謝った時に言われる言葉じゃない」
「士官、幹部は迂闊に頭を下げてはならないからな」
 謝るべき時は謝ってもとだ、鵺も返した。
「そう教えられておるな」
「よく知ってるわね」
「長生きしておるからな」
「私達は学校の部活の合宿の中で研修で行って知ったけれどね」
 英梨はバスケ部武藤は合気道部である、武藤はそこで二段であり英梨はこのことからも彼に頼んだのだ。
「そうした言葉はここでは使わないでしょ」
「そう言うか」
「そうよ、兎に角ね」
 英梨はさらに言った。
「あんたは音痴だから」
「まだ言うか」
「屋上からの鳴き声本当に聞こえるから」
 歌っているそれがというのだ。
「気を付け
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