第五章
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「守備は大事だよ」
「やっぱりそうだよな」
「それで岡田さんも改善させたな」
「そのことも大きいな」
「その守備もあるし」
今の阪神はというのだ。
「投手陣はいつも通りで」
「そっちはいいんだよな」
「いつもな」
「先発も中継ぎも抑えも万全で」
「トータルで見て安心出来るな」
「それで打って守備も改善されたから」
そうなったからというのだ。
「もうね」
「今年の阪神は隙がない」
「シリーズでも」
「そうなんだな」
「そう、負ける筈がないんだ」
寿は断言した。
「絶対に」
「僕達も阪神ファンだしな」
「そう思うよ」
「絶対に日本一になって欲しいよ」
「今年こそは」
「阪神が日本一になったら」
寿はこの時のことも話した。
「凄いからね」
「リーグ制覇しただけでもね」
「日本中大騒ぎになって」
「景気もよくなるし」
「いいことばかりだね」
「巨人が優勝しても」
この世で最もあってはならないことの一つである。
「いいことないよね」
「何一つとしてね」
「いいことなんてないよ」
「巨人が優勝しても」
「全くね」
「けれどね」
巨人の場合はそうだがというのだ。
「阪神はそうなるから」
「いいんだよね」
「こんないいことはないよ」
「他のチームでも影響あるけれど」
「阪神が優勝したら」
「日本が元気になるからね」
「それも日本一になれば」
その時はというのだ。
「尚更いいから」
「それじゃあな」
「もうここまできたら優勝して」
「シリーズにも出て」
「そうして」
「そのうえで」
「そう、日本一にもだよ」
これにもというのだ。
「なるよ、しかしね」
「しかし？」
「どうしたんだ？」
「何かあるの？」
「いや、今年はね」
寿は腕を組んで考える顔になってこうも言った。
「堀内とかいうのが言ってたけど阪神と横浜で争うと思ってたけれど」
「ああ、ペナントか」
「そっちだね」
「どうせ堀内のことだから巨人も言っただろうね」
「あいつの頭の中巨人しかないし」
「権力志向の塊で」
「うん、そう言ってたけれど」
千佳と話したことをここでも話した。
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