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父がくれるお小遣い
第一章

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               父がくれるお小遣い
 平野忠家の母則子はお金に厳しい、お小遣いはくれるがその使い道についてはいつも色々言われている。
「無駄使いは駄目よ」
「考えて使わないと駄目なんだね」
「その時買いたいと思っても」
 真剣な顔で言うのだった、赤髪があちこちはねた短めの髪の毛で大きな明るい目で赤い大きな唇だ。顔は小さく明るい顔立ちで背は一五八位でスタイルがいい。
「まずはじっくり考えて三日我慢してね」
「それから買いたいかだね」
「考えるの、あと賭けたりすることなんて」
 まだ小学生三年生の息子にさらに話した。
「絶対によ」
「駄目だね」
「そう、兎に角無駄遣いはね」
「したら駄目だね」
「何があってもね」
 こう息子に言っていた、それもいつも。
 それで忠家もしっかり守っていたが父の和正眼鏡をかけて細面で小さな唇と優しい顔に黒い鳥の巣の様な髪の毛の一七三位の痩せた眼鏡を外すと息子と親子だとよくわかる顔立ちの彼は妻に言っていた。
「ギャンブルはよくないけれど」
「お金の使い方に厳し過ぎるの」
「そうじゃないかな」
 こう言うのだった。
「別にね」
「まあうちはそんなにお金に困ってないけれど」 
 公務員の夫に言った、実は彼女もそうで共働きだ、
「けれどね」
「無駄遣いはだね」
「ちゃんとしないとね」
「子供の頃からだね」
「言っておかないとよ」
 さもないと、というのだ。
「大人になってからね」
「よくないから」
「だからよ」
 それでというのだ。
「今のうちからよ」
「言うんだね」
「そうよ」
 妻は夫にも言うのだった、だが。
 和正は言い過ぎかと思って時々息子にお小遣いをあげた、それで言うのだった。
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