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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
第95話:疑惑追及
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う。
しばらくしてゲイズさんがわずかに表情を和らげて口を開いた。

「調査の打ち切りを指示したのは私ではない。私が欠席した委員会で
 決定していた。これは本当だ」
 
ゲイズさんが圧力をかけて調査を潰したと考えていた俺は内心の狼狽を
必死で隠しながら言葉を探す。

「だとすれば他に誰が調査の打ち切りを?」

「その場にいなかった私に聞くのかね?」

「そうですね。またイチから調べ直すことにしますよ」

その時黙って俺達の様子を眺めていた1尉が椅子から立ち上がった。

「時間です」

短く、簡潔に用件だけを伝えると1尉は俺が入ってきた方の扉に向かう。
同時に、ゲイズさんが入ってきた方の扉が開いた。
俺は椅子から立ち上がり、同じく立ち上がったゲイズさんを見た。
一瞬目線が交錯するが言葉は無く、俺は扉の方へと振り向く。

「君は・・・」

背後からゲイズさんの声が追ってくる。

「君は一体何者だ?機動6課の前は何処にいた?」

ゲイズさんからの問いに俺はゲイズさんの方へと振り向いた。

「元中将ならご存知とは思いますが、6課に来る前は本局情報部第1特務部隊の
 部隊長をしておりました」

「情報部の特務・・・。では君があの・・・」

「それ以上は勘弁して下さい。特秘事項ですので」

「そうだったな。では、縁があればまた会おう」

「はい」

俺はそう返事を返すと踵を返して面会室を出た。



来た時と同じように1尉の先導で拘置所の暗い通路を歩きながら、
俺は先ほどの面会について考えていた。
所定の時間は30分。だが、俺には1時間にも2時間にも感じられた。
それだけ濃密な時間だった。
これからどうするかについて考えるのは帰ってからの宿題にすることにして、
俺は前を歩く1尉に声をかける。

「1尉、さっき聞いたことは全部聞かなかったことにした方が身のためですよ」

「そうもいきません。3佐と元中将の会話についてはすべて記録されていますし
 どのような会話が為されたかについて報告書を書く義務がありますから」

一度も俺の方を振り返ることなくそう言った1尉の声は面会の前と比べて
かなり堅く感じられた。

「まあ、そうでしょうね。無理を言って申し訳ない」

それきり俺と1尉は無言のまま通路を進み、転送装置のある
部屋までたどり着いた。

「申し訳ありませんが今日の面会についての報告書を作成する必要が
 ありますので私はここで」

「いえ。本日は色々と取り計らって頂いてありがとうございました」

そして俺は転送装置の中に入る。
次の瞬間、俺はミッドチルダの転送ポートへと戻っていた。



転送ポートから帰る車の中で、俺は今日
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